新型コロナのグローバル治験に最初の患者を登録 エーザイのエリトラン、アムジェンのオテズラを評価
公開日時 2020/10/28 04:51
エーザイは10月27日、新型コロナウイルス患者に対し、重症敗血症治療薬の候補として開発されたエリトランなどの医薬品を評価するグローバル治験に最初の患者が登録されたと発表した。治験は、新型コロナウイルス感染症による入院患者に対し、作用機序や経路に基づきグループ化されたドメインごとに複数の治療法を評価する国際共同臨床試験。同試験では、米アムジェン社のPDE4阻害薬オテズラ(一般名:アプレミラスト)も評価する。
試験は、米・Global Coalition for Adaptive Research社(GCAR)が実施するREMAP-CAPのサブスタディ。REMAP-CAP は、非パンデミックとパンデミックの状況で、重症肺炎に対する最適な治療法を見出すように設計されている。19か国、263 拠点で 2000人以上の患者を登録している。2020年2月、REMAP-CAP はパンデミックモード(REMAP-COVID サブスタディ)に移行し、治験計画に新型コロナウイルス感染症をターゲットとした治験薬投与群を追加し、対象を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者にも拡大した。
UPMC(ユニバーシティ・ピッツバーグ・メディカル・センター)ヘルスシステム下にある複数の病院、 ならびに米国の20を超える病院で実施され、さらにグローバルな治験ネットワークの施設も参加する計画としている。
エリトランは、細菌が持つエンドトキシンの活性本体であるリピッドAの化学構造アナログで、天然物有機合成技術を駆使した、エーザイ創製のTLR4(Toll-Like Receptor 4)拮抗剤。重症セプシスの治療薬として開発され、大規模な臨床第3相試験を含む14の臨床試験でエリトランの安全が確認されている。サイトカインストームの原因となる多種のサイトカイン産生シグナルの最上流に位置する TLR4の活性化を阻害することで、新型コロナウイルス感染症による炎症や重症化を抑えることが期待されている。
アムジェンのアプレミラストは、人体の炎症細胞にあるPDE4(フォスホジエステラーゼ4)の活性を阻害する経口薬。炎症性サイトカインやその他のメディエーターの産生を調節すると考えられている。これは、一部の新型コロナウイルス感染症の患者で観察される兆候、症状、肺病変を伴う炎症反応の阻害に役立つ可能性がある。中等度から重症の尋常性乾癬、乾癬性関節炎やベーチェット病による口腔潰瘍を含む炎症性疾患の経口治療薬として、現在45カ国以上で承認されている。