東和と日医工 経口血糖降下薬メトホルミンの一部を自主回収 NDMA検出で クラス1
公開日時 2020/09/17 04:51
東和薬品と日医工は9月16日、ビグアナイド系経口血糖降下薬・メトホルミン塩酸塩500mgMTの一部ロットをそれぞれ自主回収(クラスI)すると発表した。管理指標を超える発がん性物質のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことが理由。日医工の同製品は東和が受託製造しているため、日医工も自主回収することになった。なお、250mg製剤に管理指標を超えるロットはなかった。
原因について東和は、「調査中で特定には至っていない。現時点で複数の可能性がある」としている。大日本住友製薬が製造販売する先発品のメトグルコ錠(一般名:メトホルミン塩酸塩)も4月に、NDMAが検出されたとして自主回収したが、この際、印刷インクに含まれるニトロセルロース系樹脂由来の物質に問題がある可能性を指摘していた(
関連記事はこちら)。ただ、東和によると、今回の東和のケースはインクが原因ではないという。
東和と日医工は、「NDMAは発がん性物質であり、重篤な健康被害に至る可能性は否定できない」としているが、これまでに発がん性を示唆する事象は認められていない。
また、両社は今回のNDMAの検出について、服用患者向けの案内文の中で、「本製品におけるNDMA含有量の管理指標は、本製品の1日最大用量を70年間服用し続けた場合に『10万人に1人に発がんリスクが増加する』ことを許容するという基準」だと説明。「今回、一部の製品でこの管理指標をわずかに超えることが確認されたが、患者様の実際の服用量・服用期間等の服用状況を踏まえると、本製品をこれまで服用されていた患者様において健康上の問題が発生する可能性は低いと考えている」とし、医師または薬剤師に相談なく服用を中止しないよう求めた。
東和は今回、2018年2月8日~19年4月8日に出荷した12ロット、計957万7000錠を回収する。同社が出荷しているメトホルミン製剤全体の2%に相当する数量のため、安定供給には問題ないとしている。日医工は18年5月11日~19年5月28日に出荷した5ロット、計約1万4000錠を回収する。
厚生労働省は19年12月9日付で、海外でメトホルミン含有製剤からNDMAが検出されたことから、日本でメトホルミン含有製剤を製造販売する15社に対し、有効期限内の製剤及び原薬についてNDMAの分析を行い、結果を報告するよう指示した(
記事はこちら)。この厚労省の指示を受けて、製造販売業者が原薬及び製剤についてNDMAの分析を実施。これまでに大日本住友や日本ジェネリックでNDMAが検出されたとして自主回収している。