富士通と東京品川病院 新型コロナ肺炎の診断支援でAI技術を共同開発 診断精度を高めて時間も短縮
公開日時 2020/09/03 04:51
富士通と東京品川病院(東京都品川区)は9月2日、新型コロナウイルス肺炎の診断に有効とされる胸部CT検査による画像診断を支援するAI技術の開発を共同で実施すると発表した。患者の胸部CT画像に対して、AIが肺の陰影の広がりなどを数値化および3次元で可視化し、感染の可能性を提示する。富士通は、ヘルスケアソリューションとしてAI技術のサービス化を検討しており、同社の電子カルテ情報とも連携させることで、胸部CT画像をもとにした医師の診断支援だけでなく、AI技術の活用領域の拡大を目指す考え。
今秋以降は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行期を迎える。ともに発熱や倦怠感とった症状を呈するため、それぞれの検査精度と鑑別方法が重要になる。新型コロナウイルス感染症の場合、PCR検査が陰性でも、その他の検査によって新型コロナウイルス肺炎と診断される場合もあり、胸部CT検査による画像診断は重要な位置づけとなっている。
◎新型コロナ肺炎の画像データから異常陰影パターンを検出 AIで学習
富士通と東京品川病院が共同開発するAI画像診断支援技術は、病院が有する過去の新型コロナウイルス肺炎の胸部CT画像データから肺の異常陰影パターンを検出し、それらのデータをAIに学習させることで新型コロナウイルス肺炎の可能性を示すAI技術を開発するというもの。その技術の有効性を両者で検証する。異常陰影のパターンの検出は富士通研究所が開発したAIを活用。CT画像上で肺を右肺末梢、右肺中枢、左肺中枢、左肺末梢の4領域に分割し、各領域の上下方向の陰影分布をヒストグラム化する。これにより、三次元的な陰影の広がりを数値化し、検出された異常陰影パターンと陰影分布を用いて新型コロナウイルス肺炎を判別するAIを開発する。
◎診療時間を短縮 専門医以外でも診断を効率よくできる
これまでは医師が胸部CT画像から肺炎を診断する際に、陰影の立体的な広がりを数百枚の胸部CT画像から目視で確認していた。今回開発するAI技術を使うことで診断時間を短縮し、専門医のみならず、新型コロナウイルス肺炎の診断を効率良く行うことができる。
◎東京品川病院 院内で実施する様々な研究との融合も
両者は今回の共同開発を通じ、新型コロナウイルス肺炎の診断に活用される様々な情報を利用できる技術を確立し、AIによる胸部CT画像診断から新型コロナウイルス肺炎の画像診断支援技術の向上を目指す。一方、東京品川病院は、院内で実施する様々な研究との融合を目指し、新型コロナウイルス肺炎の診断治療に役立てたい考えだ。