バイエル薬品 前立腺がん用薬ニュベクオ 患者のライフスタイルに合わせた薬剤選択が可能
公開日時 2020/08/18 04:50
バイエル薬品は8月6日、オンコロジープレスセミナー「前立腺がん治療における新たな治療戦略-新規治療薬『ニュベクオ』がもたらす変化と期待」を開催した。横浜市立大学市民総合医療センター泌尿器科・腎移植科の上村博司教授が「非移転性去勢抵抗性前立腺がん-治療における課題と理想的な治療とは」、群馬大学大学院泌尿器科の鈴木和浩教授が「ニュベクオがもたらす前立腺がんの新たな治療戦略-患者さんのライフスタイルに合わせた薬剤選択が可能に」のテーマで講演した。
バイエル薬品のニュベクオ錠(一般名ダロルタミド)は1月23日に「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果に承認を受け、5月26日に販売を開始した。
上村教授は、M0 CRPC(非転移性去勢抵抗性前立腺がん)について、アンドロゲン除去療法(ホルモン療法)の施行中にPSA(前立腺特異抗原)の上昇がみられたが、画像検査で遠隔転移が検出されない病態と説明した。M0 CRPCの患者の約3割では死亡や転移のリスクが高い。診断のポイントは、画像をはじめとするCRPC(去勢抵抗性前立腺がん)の早期診断であり、治療によって転移までの期間を延長することが重要と指摘した。さらに、M0CRPCは長期にわたる治療期間で医師と患者の良好なコミュニケーションがQOL維持につながるとした。
鈴木教授は、国際共同第Ⅲ相試験であるARAMIS試験の日本サイドの責任者であり、ARAMIS試験でニュベクオが対照群より無転移生存期間が有意に延長し、有効性が高く、良好な安全性を示したことを報告した。ニュベクオは、第2世代の抗アステロゲン剤で、アストロゲンレセプターに対するアストロゲンの競合的結合を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する。
鈴木教授は、「ニュベクオが前立腺がんの新たな治療選択肢のひとつとなり、治療期間の長いM0 CRPC患者のライフスタイルに合わせた薬剤選択が可能になる」と述べた。
【訂正】下線部の製品名の表記に誤りがりました。訂正します。(8月18日10時50分修正済み)