アステラス製薬 エムスリーの「my MR君」をMR1700人に導入 MRのリモートワークを強力に支援
公開日時 2020/06/09 04:52
アステラス製薬は6月8日、エムスリーのリモートディテーリングサービス「my MR君」を全MR(1700人)に導入した。m3.com上のターゲット医師に対し、担当のMRが自身の顔や名前を出しながら直接コミュニケーションを図るというもの。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医師との直接面談がこれまで以上に厳しくなるなかで、オンラインとオフラインを組み合わせることで、医師カバレッジの拡大、医師との関係構築の強化、さらにはMRリソースの最適化などを図る狙いが込められている。同社は、「デジタルトランスフォーメーションを加速させ、MRの生産性拡大と新たな情報提供の構築を実現させたい」と強調している。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、医療機関側がMRの院内活動の自粛を要請するケースもある。また今秋にも第2波、第3波が到来するとの警戒感から、医療者同士や医療者と患者の感染リスクをいかに抑え込むかが課題で、対応策が求められているところ。こうしたなかで製薬各社のMR活動も、これまでのようなFace to Face(F2F)にのみ固執する活動から、リモート機能を活かし、オンラインとオフライン(O2O)を効率的に組み合わせたディテールプラットフォームの利活用に舵をきる動きが、ここにきて活発化している。
◎MR自身が「顔」や「名前」をサイト上に表示
アステラス製薬が採用した「my MR君」とは、m3.com(登録数:医師28万人以上)を活用している医師を絞り込み、アステラス製薬のフィールドMRがサイト上で直接医師にコンタクトすることができるというもの。これまでのeディテーリングとは異なり、MR自身が「顔」や「名前」をサイト上に表示させることで、双方向でのやり取りを可能とした。
具体的には、ターゲット医師がm3.comで見ている画面に、メッセージや製品情報などを表示することができる。動画の添付も可能。Web面談の申し込みもできる。さらに医師側がMRの提供情報に対し、「よかった」、「もう少し詳しく」「頼りにしています」などの反応を返信するボタンが用意されており、医師とMR間で双方向のやり取りを可能としている。MR側にしてみても、情報提供に対する反応がタイムリーに得られることから、機会損失を防ぐこともできる。
こうしたMRと医師とのコミュニケーションは、F2Fに慣れたMRにとって不安が多いとの指摘もある。ただ、リモートワークとしての地理的課題(移動時間やコスト)が解消されるだけでなく、ネットを活用したタイムリーな情報提供といった「時間軸」(1日当たり面談数)の障壁を克服できる分、MRの生産性向上に期待できるとの見方もある。MR側もこうした環境下でのデジタルリテラシーに関するスキル習得や教育研修が求められることになりそうだ。
◎エムスリー 「my MR君」すでに20社以上が導入・もしくは準備中
エムスリーは「my MR君」について、すでに20社以上が導入、もしくは導入の検討に着手していることを明らかにした。また、導入企業の特徴として、専門領域やスペシャリティー薬のニーズが高まっているとした。エムスリーとしては、ポストコロナの環境下で、「MRのe武装化」はさらに進むと見通しており、「医薬品の情報提供における本質的な高質化・生産性向上を目指し、引き続き医療業界に貢献したい」と強調している。