【特別版】米NIH 新型コロナ入院患者の回復期間 レムデシビル投与群はプラセボに比べ31%速い
公開日時 2020/04/30 04:52
米国立衛生研究所(NIH)は4月29日(米国時間)、抗ウイルス薬・レムデシビルの投与により、新型コロナウイルスによる肺炎で入院した患者の回復までの期間がプラセボに比べ31%有意に速かったとの予備的解析の結果を発表した。1063例の患者を登録して実施された「ACTT」試験の予備的データ解析によるもの。このほか、レムデシビルの投与により、死亡率が低下する傾向も示されたとしている。
◎主要評価項目は回復(退院もしくは通常活動レベルに戻る)までの期間
試験の対象は、新型コロナウイルスによる肺炎で入院する患者。胸部X線やCTで浸潤影やラ音が確認されることや、酸素吸入や機械的換気が必要であることなどを要件としている。軽い風邪症状や症状のない人は対象に含まれない。主要評価項目は、回復までの期間。なお、回復について同試験では、退院もしくは通常の活動レベルに戻ることと定義づけている。患者をレムデシビル10日間投与群とプラセボ群にわけ、治療効果を比較する。
◎回復期間 レムデシビル群11日、プラセボ群15日
今回発表された予備的解析では、主要評価項目に据えた回復までの期間は、レムデシビル投与群はプラセボ群に比べ31%有意に早かった(p<0.001)。回復期間(中央値)は、レムデシビル群は11日だったのに対し、プラセボ群では15日だった。
◎死亡率 レムデシビル群8.0%、プラセボ群11.6%
死亡率はレムデシビル群8.0%、プラセボ群11.6%で、有意差はないものの、レムデシビル群で低下する傾向が示された(p=0.059)。
試験は、2月21日からスタートし、4月17日に新規患者の登録を締め切った。データ安全性モニタリング委員会(DSMB)は27日、中間解析の結果をレビューし、主要評価項目、回復までの期間などで、レムデシビルがプラセボを上回る有用性を確認したとしている。参加施設は、世界68か国で、米国が47施設、日本からは国立国際医療研究センターが参加している。
なお、NIHは、同剤の迅速な使用に向けて、FDAとギリアド・サイエンシズが協議を重ねていることも明らかにしている。