現時点では新型コロナウイルス感染症に対する、いわゆる“特効薬”は存在しない。「100点満点の薬剤はなく、候補の薬剤はそれぞれ長所・短所をあわせもつ。それぞれの薬剤の長所・短所を明らかにしたうえで、患者の診療に当たる医師の治療選択肢を増やす形が望ましい」──。４月18日に開催した日本感染症学会のWeb特別シンポジウムで愛知医科大学の森島恒雄客員教授はこう語った。臨床研究の結果が明らかになることが期待されるのは言うまでもないが、重要課題と言えるのが投与タイミングだ。新型コロナウイルス感染症の８割は、無症状や軽症で治癒する。重症化するのは２割にすぎない。そして感染者の４～５％が人工呼吸器の必要な状況になり、さらに1.5％はECMOが必要になる。中国武漢や、イタリア北部、スペ...