ギリアド 新型コロナウイルス感染症の第3相臨床試験 レムデジビルの国内患者への投与開始
公開日時 2020/04/15 04:52
ギリアド・サイエンシズは4月14日、中等度・重度の新型コロナウイルス感染症を対象とした、抗ウイルス薬・レムデシビルの第3相臨床試験で、国内患者に投与を開始したと発表した。米国やアジアなどで実施する2本の国際共同試験として計画され、国内からは横浜市立市民病院など、3施設が参加する。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、同社は対象患者数を当初計画していた約1000人から約4000人へと拡大する。日本人は含まれないものの、解析結果の第一弾として重度患者400例を対象としたデータを4月中にも公表する見通しだ。
◎グローバルで4000人規模に拡大
同社の進める試験プログラム「SIMPLE」は、レムデシビル5日間投与と10日間投与のレジメンについて重度と、中等度の患者それぞれの有効性・安全性を検証する2本の臨床試験から構成されている。当初、重度約400人、中等度約600人の計1000人で計画していたが、感染の拡大が世界的に続くなか、登録患者数を4000人規模に拡大し、検証を進める計画に変更した。中等度の患者については現在患者登録を進めており、5月中の結果公表を目指す。
治験実施施設のひとつである横浜市立市民病院感染症内科の立川夏夫医師は、「治療の確立は感染者の健康回復のみならず、“treatment as prevention(治療による予防)”として、新型コロナウイルス感染症の蔓延への重要な対策になる」と、臨床試験の重要性を強調するコメントを寄せている。
レムデシビルは、ギリアドの進める企業治験に加え、米・米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所を中心に進められる日米約800例を対象とした臨床試験や、中国で実施されている臨床試験、世界保健機構(WHO)が進めるグローバル試験など、計7件の臨床試験がグローバルで進行中。
なお、レムデシビルは、エボラウイルスなどへの治療効果が期待される核酸アナログ。現時点では世界で認可・承認されておらず、いずれの適応についても安全性や有効性は確立されていない。