エーザイ CTCL・PTCL治療薬・デニロイキン ジフチトクスを申請
公開日時 2020/03/27 04:50
エーザイは3月26日、抗がん剤・デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え)(開発コード:E7777)について、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)と末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を適応症として日本で承認申請した。
申請は、国内で実施された臨床第Ⅱ相試験(205 試験)などの結果に基づくもの。再発または難治性CTCLとPTCLの患者を対象に行われた。結果では、CTCLとPTCLの患者計36人の奏効率は、36.1%(95%信頼区間(CI):20.8-53.8)となり、同社では、「事前に設定した閾値を統計学的に有意に上回り、主要評価項目を達成した」としている。内訳は、▽CTCL(19人)が31.6%(95% CI:12.6-56.6)、PTCL(17人)では41.2%(95%CI:18.4-67.1)。
一方、同試験で認められた主な有害事象は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(89.2%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(86.5%)、低アルブミン血症(70.3%)、リンパ球減少症(70.3%)、発熱(51.4%)—となっている。試験では、3週間を1サイクルとして、9μg/kg/dayを1 日目から連続で5日間、最大8サイクル点滴静注で投与した。
同化合物は、インターロイキン2(IL-2)の受容体結合部分とジフテリア毒素の融合タンパク質で、腫瘍細胞表面上のIL-2 受容体と特異的に結合するという特徴を持つ。細胞内に移行 したジフテリア毒素は、タンパク質合成を阻害し、細胞死を誘導することで、抗腫瘍効果を示すと考えられている。厚労省内に設置された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で2010年5月、医療上の必要性が高い医薬品として評価され、同省より開発要請を受けていた。
CTCLは、一般的に悪性度の低いリンパ腫とされるものの、腫瘍期に移行した場合は悪性度が高くなり、リンパ節や内臓に浸潤が見られるなど予後不良となる。また、PTCLのうち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性未分化大細胞リンパ腫以外の病型では、 60歳前後に発症することが多く、予後不良となる場合や治療が難しい場合がある。このためいずれの疾患も、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高いとされていた。