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ノボ 2型糖尿病患者のバーチャルモデルでデジタルソリューション開発にアクセル

公開日時 2020/01/10 04:52
デンマークのノボ ノルディスクは1月10日までに、2型糖尿病患者のバーチャル患者モデリングの共同開発に向け、米・バージニア大糖尿病センターと提携契約を締結した。2型糖尿病患者・患者群の体内代謝系・反応をコンピューター上で(インシリコ)生理学をシミュレーションできるモデルの開発を目指す。モデルの活用により、個々の患者に合致した最適な治療の実現に加え、デジタルソリューションの開発加速につなげたい考え。同社の有するインスリンなど薬剤と組み合わせ、個々の患者に最適なデジタルツールの開発に注力する。

バージニア大糖尿病センターは、糖尿病に関連する生理学的経路や治療行動の把握・定量化などで成果をあげてきた。同社との提携により、コンピューターシミュレーションや人工知能(AI)を活用し、データに基づくバーチャル患者モデルの開発に取り組む。

◎モデル活用で個別化医療を推進

モデルの活用を通じ、「様々な利点を持つバーチャルシミュレーション、および試験が可能になる」と同社は説明する。2型糖尿病患者と一口に言っても、年齢や患者背景、遺伝子的要因などは多岐にわたる。特定の患者・患者群についてのモデルを作成することで、医学的介入などがどのように作用するか、シミュレーションすることができる。介入前の最適な治療方針立案などにつながり、糖尿病領域におけるターゲット医療や個別化医療を推進に期待がかかる。

さらに、小児期や青年期、成人などあらゆるタイプの2型糖尿病患者に合致した「新世代型デジタル治療ソリューション」の開発加速につなげたい考え。

同社のLars Fruergaard Jørgensen CEOは19年5月にデンマーク本社で行った本誌取材で、「デジタルヘルスにも投資を行っている」ことを明らかにしている。インスリンをはじめ、糖尿病治療薬のポートフォリオに強みを有する同社だが、デジタル領域にも注力する。例えば、インスリンを投与すると、自動的に投与量や投与時間データが蓄積される、ペン型インスリン注入器の開発に取り組む。継続的な血糖値の変動を把握することで、低血糖による心血管リスクの低減などにつなげることを視野に入れる。こうしたデバイスなどの開発をはじめ、「医薬品周辺のサービスにより力を入れていきたい」と話していた。治療だけでなく、予防を含め、患者の行動管理なども含めたトータルサポートを実現したい考えだ。これにより、他社と差別化したアプローチ実現を目指す。

契約期間は5年間。両者は、「バーチャルイノベーション研究室」を開設。まずは、15人ほどの従業員・職員を研究の専任として配置し、研究の進展に伴って体制を強化する予定としている。
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