AYA世代のがん 20歳以上は8割が女性 国がんと生育医療センターが初報告書
公開日時 2019/10/21 03:50
AYA世代(15~39歳)のがん患者のうち、20歳以上では約8割を女性が占めることがわかった。子宮頸がんと乳がんの増加が影響した。国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが10月18日、公表した報告書からわかった。両センターでは、「AYA世代のがん対策を考える際には、性別や年齢によるがん種の違いを考慮すべき」と指摘している。小児とAYA世代のがん患者に特化したデータを集計した報告書が公表されるのは初めて。
全国のがん診療連携拠点病院や都道府県から推薦された病院、任意参加病院の計844施設の院内がん登録のデータを集計し、小児・AYA世代に該当する40歳未満の症例を対象に解析した。期間は2016年1月~17年12月。
患者数は15歳未満の小児がんで6667例、AYA世代は7万6822例だった。
このうちAYA世代では、男性は1万8510例(24.1%)に対し、女性は5万8312例(75.9%)で、女性患者の割合が高いことがわかった。初回治療時の分類では、がん種(2万2231例)と変換不能(2万3822例)が突出して多く、あわせて約8割を占めていた。変換不能例には上皮内癌も含まれるため、再分類したところ、「子宮頸部・子宮」が最多で、「乳房」が次いで多かった。
◎小児では白血病多く 小児がん拠点病院以外でも診察行われる実態も
一方、小児がんでは、症例を国際小児がん分類に基づいて分類すると、最多は白血病(1403例)。次いで脳腫瘍(990例)、リンパ腫(424例)だった。2年間で小児がんを1~3例の診察した施設は146施設で、全国15か所の小児がん拠点病院以外のがん診療連携拠点病院などで治療されている実態も浮き彫りになった。
国立成育医療研究センターの松本公一小児がんセンター長は、「小児がん専門医がいて、適切な治療が行われていれば問題はないが、専門医が不在のまま、患者の診療を行なっている施設もあるかもしれない」と指摘。症例数が少ないうえ種類も希少な種類のがんが多く、診療の集約化が必要と指摘されるなかで、「問題があるのかどうか、今後の検証が必要だ」とコメントしている。