政府・経済財政諮問会議 社会保障で議論 高額薬剤の財政影響等でエビデンス評価の徹底も
公開日時 2019/10/01 03:51
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は9月30日、「社会保障分野のこれまでの成果と今後の重点課題」について議論した。出席議員からは、経済財政諮問会議における社会保障改革の議論に当たっては、「全世代型社会保障検討会議とも連携しつつ、経済再生への効果、国民生活の質の向上、財政面の効率性といった観点から検討を深めるべき」との意見があった。また、民間議員からは重点課題として、高額医薬品や医療機器の費用対効果や社会保財政への影響等についてエビデンスベースでの評価の徹底活用が求められた。
この日の諮問会議に民間議員は「社会保障改革の今後の重点課題」についての考え方を示した。それによると、「予防・健康づくりや創薬等でのイノベーションの推進、データヘルス等を通じて社会保障面から経済再生やQOLの向上を牽引し、2000年頃の600兆円経済と2025年度の財政健全化目標をしっかり実現する必要がある」との見解を示した。
◎民間議員・予防・健康づくりやイノベーションの推進など求める
その上で歳出効率化に向けた具体策として、①予防・健康づくりやイノベーションの推進などを通じた経済再生・QOLの向上、②健康で安心して働ける環境整備、③AI等の利活用やインセンティブの活用等を通じた人材不足や効率化等への対応、④データ・エビデンスをベースとした歳出の効率化とバランスのとれた負担の仕組み-の各項目を求めた。
なかでも予防・健康づくりやイノベーションの推進では、製薬産業に対し、高い創薬力を持つ医薬品産業への転換の観点を踏まえた薬価制度の抜本改革、調剤報酬の適正な評価等の改革の推進などを盛り込んでいる。また、AI等の利活用やインセンティブの活用等を通じた人材不足や効率化等への対応では、「地域医療構想の実現に向けた病床のダウンサイジング支援の追加的方策、病床機能の転換を促す診療報報酬の大胆な見直しなども盛り込んだ。