エーザイ 「E2082」フェーズ1で1例が死亡 因果関係は不明
公開日時 2019/07/31 03:52
エーザイは7月30日、国内で実施中の「E2082」の臨床第1相試験で成人の男性健常人1例が投与完了後に死亡していたと発表した。6月に死亡がわかったが、現時点で治験薬と死亡との因果関係は「不明」で、厚労省が調査を進めている。同社はすでに、被験者へのE2082の投与は中止している。E2082は、次世代AMPA受容体拮抗作用を有し、てんかんなど神経領域疾患への効能が期待され、日米で開発が進められていた。
◎非臨床段階では死亡リスク確認されず
国内で実施されていた臨床第1相試験では、20~85歳の健常人男性118人を対象に、安全性が検討されていた。2017年12月21日に試験を開始し、19年8月に試験が終了する計画だった。米国ではすでに臨床第2相試験が実施中で、9人が登録されていた。
治験に参加したほかの被験者に重篤な副作用は現在までに報告されていない。同社によると、動物実験を含め、非臨床試験段階では、全プロファイルを含めて死亡リスクは確認されていなかった。
◎フィコンパの後継品として期待も
E2082は、同社のフィコンパ(一般名:ぺランパネル)の後継品として期待されていた。てんかん患者などの発作時に活性化状態にあるAMPAに特異的に拮抗する。既存品であるフィコンパもAMPAに作用するが、活性化状態によらずに作用を発揮するなどの違いがある。フィコンパの市販後調査で死亡例も報告されているが、2012年にグローバルで上市されて以降、世界50か国以上で発売されており、有効性・安全性は確立しているとしている。
同社は、「被験者が亡くなったことを極めて重く受け止め、引き続き安全性に十分配慮し、高い倫理観を持って医薬品の研究開発を行う」としている。