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日本緩和医療薬学会 8割がポリファーマシー経験 病院薬剤師の介入で不適切処方削減に貢献

公開日時 2019/07/12 03:50
日本緩和医療薬学会はこのほど、緩和ケア領域におけるポリファーマシーの実態を解明する目的で病院薬剤師を対象に行った調査結果を公表した。それによると、病院薬剤師の約8割が6剤以上の薬剤が処方されたがん患者を担当し、処方が不適切だった患者も多く経験したと回答していることが明らかとなった。一方で、薬剤師の介入で薬剤数を減少させたとの回答も約8割あり、病院薬剤師に限らず、医療用麻薬やその副作用対策に精通した緩和薬物療法認定薬剤師が介入することで不適切処方の削減などに貢献していることが分かった。

調査は、日本緩和医療薬学会が、2017年10~11月の2か月間で、同学会に所属する全国の病院薬剤師を対象にインターネットを通じて行ったもの。薬剤師会員2618人中、369人が回答(回答率13.7%)した。

調査結果によると、6剤以上の定期薬を処方された患者を経験した病院薬剤師は約8割に及んだ。実際に医療用麻薬を処方されていた患者の割合は、「4~6割」との回答が最も多く、回答のあった病院薬剤師の40.9%を占めた。一方で、これら症例のうち不適切な処方薬が見られた割合は「1~3割」が最も多く、64.3%だった。なお、医療用麻薬を使用している患者の不適切処方の理由について回答を求めたところ、「不要な漫然処方」が63.8%でトップ。次いで、「副作用の原因」が24.0%、「同種同効薬の重複」が21.7%、「薬物相互作用」が12.8%だった。

◎介入により薬剤数削減-7割の病院薬剤師が経験

一方、薬剤師の介入で薬剤数を減らしたとの回答も7割以上に及んだ。削除した薬剤の種類をみると、医療用麻薬を使用している患者では、「制吐剤」が44.8%でトップ。逆に医療用麻薬を使用していない患者では、「消化器用薬」が35.1%でトップ、次いで「制吐剤」の24.5%となった。削減できた薬剤の平均数に差はない。

このほか同調査では、専門・認定資格の有無についても検証した。それによると、6種類以上の定期薬を処方されていた患者の割合や、不適切な処方薬が見られた患者の割合に差は認められなかったとしながらも、「緩和薬物療法認定薬剤師は、専門資格のない薬剤師に比べて、がん患者におけるポリファーマシーの不適切な処方削減に貢献していた」とも分析した。

◎必然的に併用薬剤が増加-「より慎重に処方監査行う必要が」

同学会は今回の研究成果の意義について、「調査によって、緩和ケア領域の薬剤師がポリファーマシーに積極的に介入している実態とその効果を明らかにできた」としている。また、「医療用麻薬やその副作用対策のため追加処方された薬剤により、必然的に併用薬剤数が増加し、このことが不適切処方となるリスクを増加させる可能性が考えられ、より慎重に処方鑑査を行う必要がある」と分析した。なお、研究結果は7月3日にオープンアクセスジャーナル「Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences」第5巻14として公開された。







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