武田薬品 途上国・新興国の医療環境改善支援に46億円 SDGs達成に向け
公開日時 2019/06/27 03:50
武田薬品は6月26日、主に途上国・新興国の医療環境の改善を支援するグローバルCSRプログラムに新たに5団体を選定したと発表した。2016年の発足以来、毎年行っているもので「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取り組みの一環。2019年の今回は、重篤な疾患の小児患者と家族の生活支援や、顧みられない熱帯病に治療法の提供などを行う5団体に5年間で計46億円を拠出する。
このプログラムは、途上国・新興国における疾病予防および医療アクセスの向上により、人々の健康に貢献することを目的に、3~10年にわたる支援を行っている。同社によると、今回は全世界の全従業員のうち約2万人が投票に参加し、選定した。46億円の拠出額は最も大きかった17年の27.5億円を上回る過去最大規模。同社は、強化してきたグローバルヘルスに対する取り組みをより力強く推進するためだと説明している。これまでに9プログラムに対し59億円を拠出、今回の拠出分を合わせると100億円を超える。
今回選定された団体は以下のとおり(「」はテーマ)。
▽シリアスファン・チルドレンズ・ネットワーク:「重篤な疾患の子どもとその家族の生活のために」
概要:重篤な疾患を抱える子どもたちとその家族に対し、人生を変えるような経験を届けるため、医療に特化したキャンプなどの新規の革新的なプログラムを計画。同ネットワーク全体を通して医療体制を構築する。アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアおよびカリブ諸国で5年間実施。総予算10億円。
▽DNDi:「世界中の最も顧みられない患者さんに治療を届けるプログラム」
概要:「顧みられない熱帯病」が蔓延する国々の、特に僻地において医療の質を向上し、患者さんが治療にアクセスできる環境を整える。病気の進行を防ぎ、患者さんの生命を救うことを目指す。アフリカ睡眠病、シャーガス病、リーシュマニア症、河川盲目症、およびマイセトーマの5疾患が対象。アフリカ、アジア及び南米の16か国で5年間実施。総予算10億円。
▽シティ・キャンサー・チャレンジ:「がん治療アクセス改善の持続的・革新的システム構築」
概要:参加型の包括的アプローチにより、民間セクター、市民社会や政府が結集し、質の高いがんのケアや治療を進め、保健医療システムの強化を実現する。10都市において持続可能ながんの解決策の構築、計画および実施を支援する。全世界で5年間実施。総予算10億円。
▽国連財団:「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現~計画的・効果的な予防接種のために~」
概要:効果的な予防接種計画とアウトブレイクへの対応を可能にする疾病監視体制の改善とデータ活用を通じて、サハラ以南のアフリカ諸国の保健システムを強化することを目指す。強化された予防接種プログラムにより、一次医療を強化し、プログラム実施国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成を促進する。サハラ以南のアフリカ諸国で5年間実施。総予算5億5000万円。
▽ユニセフ:「イノベーションと最先端テクノロジーによる医療アクセス改善」
概要:ドローン関連を含む25の医療・保健スタートアップに投資し、革新的ソリューションを実現・拡大していく。子ども向けに人工知能をベースとした感染症予測モデルの開発を進め、3か国でスケールアップを行う。全世界で5年間実施。総予算10億円。
武田薬品は「疾病を予防する手段が飛躍的に進歩し、何十億という人々が病気から解放され、全ての人々にとって医療へのアクセスが可能な世界を目指している。SDGsの達成に向け、国際社会とともに取り組んでいく」とコメントしている。