コニカミノルタ、東大、国がん 次世代がん遺伝子パネル検査を共同研究開発
公開日時 2019/06/07 03:50
コニカミノルタは6月6日、より高機能の次世代がん遺伝子パネル検査の実用化に向け、東京大学、国立がん研究センター研究所と共同研究開発を行うと発表した。DNAパネルだけでなく、RNAパネルも組み合わせるのが特徴で、それにより複数の遺伝子が融合し腫瘍化を促す融合遺伝子なども高感度に検出できるようにする。半年程度で開発し、臨床研究を行い1年半程度で成果を出したい考え。予定時期は未定だが、薬事承認、保険適用を目指す。
がん遺伝子パネル検査は、一度に多くの遺伝子変異を検出するもの。検査によって明らかになった遺伝子変異に基づいて診断や治療方針の選択を支援する。研究開発は、東大と国がんの研究者が中心となって開発した「東大オンコパネル」(TOP)をベースに行う。TOPは、DNAパネルだけでなくRNAパネルにおける融合遺伝子検出、解析などに強みをもつ。それにコニカミノルタグループで米Ambry Genetics社の持つ世界有数の遺伝子診断技術、RNA検査の知見を活かし、より精度の高い機能開発を進める。
コンセプトは「DNAで見つけて、RNAで実証する」。RNAパネルを組み合わせることで、RNAの発現量や遺伝子変異が腫瘍細胞にどの程度関与しているかをより明確にする。また、融合遺伝子や一部が転写されなくなり腫瘍化を促進する異形転写体をより高感度に検出できるようにする。それらにより、より正確な診断を実現する。
コニカミノルタは、国内での商用ラボの構築を進め、「国内完結型遺伝子解析サービス」の提供を目指す。検査で得られたデータは、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)へ提出し、日本人特有の遺伝子変異の解明、新たながん治療法、診断法の開発、新薬の創出に寄与したいとしている。
TOPの開発に携わった東京大学先端科学技術研究センターの油谷浩幸教授(写真左から2番目)は、同日の会見で「薬の種類はたくさんある。どれを使えばよいか、医師、患者さんが最も知りたいこと。TOPは最適なソリューションを提供できる。パートナーを探していたとき、遺伝子検査では老舗の米Ambry社を傘下に持つコニカミノルタと意気投合して共同研究開発につながった」と説明した。
コニカミノルタの藤井清孝・専務執行役(写真右から2番目)は会見で、Ambry社の遺伝子検査技術、コニカミノルタのタンパク質解析技術、Invicro社の臓器の画像解析技術とグループの技術に、がん遺伝子パネル検査が加わることで「分子レベルから臓器レベルまで診断できる。ヒトのカラダのプロファイリングができるようにしようとしている。それが我々の描くブレシジョン・メディシン」と、今回の共同研究開発の意義を強調した。