厚労省 新キットや規格追加など9製品を薬価収載 エンブレルのバイオ後続品も
公開日時 2019/05/30 03:50
厚生労働省は5月29日、新たなキットや規格追加などを行った医療用薬9製品を薬価基準に収載した。関節リウマチなどに用いる生物学的製剤エンブレル(ファイザー)の2番目のバイオ後続品となるYLバイオロジクスの「エタネルセプトBS皮下注『TY』」も収載された。
5月と11月の年2回行われる報告品目(医薬品部会の報告品目、審議品目で新医薬品以外に分類される製品)と新キット品目を対象にした収載。バイオ後続品の収載もされる。
収載品目は以下のとおり(カッコ内は一般名、会社名)。29日には2製品が発売された。
【5月29日発売】
▽シンポニー皮下注50mgオートインジェクター(ゴリムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
効能・効果:「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の改善及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」
薬価:1キット 12万1539円
現行はシリンジ製剤だが、薬液を充填したシリンジに、ワンタッチで薬液を注入できるオートインジェクターが装着された、ばね式の使い捨て製剤。在宅での自己注射の利便性を高めるのが目的。販売元は田辺三菱製薬。
▽イロクテイト静注用4000(エフラロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、サノフィ)
効能・効果:「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」
薬価:1瓶(溶解液付) 30万6641円
半減期を延長した製剤。定期補充療法の輸注回数を減らすことで、患者の身体的負担を軽減できることを期待して開発された。患者によっては1回あたり最大規格の3000IU超の投与が必要な場合、2バイアルを使用せざるを得ないケースもあったが、同剤の活用で患者の注射に際しての負担軽減ができる。既存規格は250IU、500IU、750IU、1000IU、1500IU、2000IU、3000IU。
【6月3日発売予定】
▽レクサプロ錠20mg(エスシタロプラムシュウ酸塩、持田製薬)
効能・効果:「うつ病・うつ状態、社会不安障害」
薬価:1錠 303.50円
1日の最高用量は20mg。患者への利便性等を考慮して開発した。
【6月6日発売予定】
▽イノラス配合経腸用液(一般名なし、イーエヌ大塚製薬)
効能・効果:「一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する」
薬価:10mL 15.6円(1パウチ187.5mLあたり292.5円)
経管または経口による栄養補給に用いる類似処方医療用配合剤。高齢者で体格が小さいといった維持エネルギー量が低い患者で栄養管理がしやすいよう、1パウチ300kcalで、1日に必要なビタミンや微量元素の摂取推奨量や目安量の約1/3を充足できるように設計された。国内外の栄養学的知見を踏まえ、カルニチン、コリンも配合した。
【6月7日発売予定】
▽ビソノテープ2mg(ビソプロロール、トーアエイヨー)
効能・効果:「頻脈性心房細動」
薬価:1枚 59.40円
既存規格の4mgと8mgに追加。インタビューフォームによると、「頻脈性心房細動」の効能・効果、用法・用量の追加(4mg、8mg)、「頻脈性心房細動」における減量用量に対応するため2mg の規格追加を行った。アステラス製薬が販売する。
【以下、現時点で発売日非開示】
▽エタネルセプトBS皮下注10mgシリンジ1.0mL「TY」/同25mgシリンジ0.5mL「TY」/同50mgシリンジ1.0mL「TY」/同50mgペン1.0mL「TY」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト2]、YLバイオロジクス)
効能・効果:
10mgと25mg:「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」「既存治療で効果不十分な多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」
50mg:「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」
薬価:
10mg1シリンジ 3773円
25mg1シリンジ 9175円
50mg1シリンジ 1万8060円
50mg1キット 1万8194円
販売は帝人ファーマと陽進堂が行う。エンブレルのバイオシミラーについては共和薬品が承認を取得し、日医工が販売する予定のエタネルセプトBS「日医工」も承認されているが、今回の収載はYLバイオロジクスの製品のみ。共和薬品は収載を見送った理由を「安定供給などを含めて総合的に判断した」としている。
▽トラスツズマブBS点滴静注用60 mg「ファイザー」/同150 mg「ファイザー」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続3]、ファイザー)
効能・効果:「HER2過剰発現が確認された乳がん」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」
薬価:
60mg1瓶 1万3683円
150mg1瓶 3万1858円
先行品はハーセプチン(中外製薬)。
▽ゴナックス皮下注240mg(デガレリクス酢酸塩、アステラス製薬)
効能・効果:「前立腺がん」
薬価:1瓶(溶解液付)3万4850円
既存規格80mg、120mgに追加。用法・用量(維持用量)について、これまでの80mg4週間間隔に480mg12週間隔投与を設けた。それに伴い240mg製剤を開発した。
▽ゾレア皮下注75mgシリンジ/同150mgシリンジ(一般名:オマリズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ)
効能・効果:「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」
薬価:
75mg1シリンジ 2万3195円
150mgシリンジ 4万5645円
シリンジに予め薬剤を充填したプレフィルドシリンジ製剤。既存製剤の凍結乾燥製剤では投与前に製剤の溶解といった15~20分かかっていた操作が不要になる。そのため、より簡便に投与でき、調製ミスの防止も期待できる。