アッヴィ日本法人 18年売上は倍増の1726億円 C肝薬・マヴィレット急伸で
公開日時 2019/05/23 03:51
アッヴィ日本法人は5月22日、2018年売上高は1726億円(決算ベース)、17年実績と比べ倍増したと発表した。17年11月に発売したC型肝炎治療薬・マヴィレットの売上が急伸、1328億円(薬価ベース、IQVIAデータ)となり、18年業績を一気に押し上げた。19年は減収の見通し。この日に会見したジェームス・フェリシアーノ社長は、今後参入するオンコロジー領域を加えて成長を図る方針を改めて示し、MRやMSLを含め社員を100人以上増やす考えを明らかにした。
18年の売上の伸び率は104.0%。関節リウマチなどに用いるヒュミラ、RSウイルス感染症薬・シナジス、抗パーキンソン病薬・デュオドーパも増収に寄与したとしている。
業績を大きく押し上げたマヴィレットは、すべての主要なジェノタイプに効果を示すほか、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)既治療の患者や腎機能障害患者にも投与できるなどの特長がある。投与期間を既存薬の12週間から8週間に短縮。これら製剤特性と高い有効性が評価され、急速に市場浸透した。しかし、患者の根治により急速に市場は縮小、売上はピークを越えて減少フェーズに入っている。
◎C型肝炎の潜在患者にアプローチ 専門医と非専門医をつなぐ活動展開
マヴィレットの今後の販売についてフェリシアーノ社長は、最新治療に対する潜在患者へアプローチを進める方針を明らかにした。基幹病院の専門医中心のMR活動を、開業医など非専門医にも広げ、両者をつなぐ活動に取り組む。それによりC型肝炎に苦しむ患者をなくすことを、世界で最も早く日本で実現したいととした。
19年は、すでにヒュミラの化膿性汗腺炎の適応追加承認を取得、近日中に新規作用の乾癬治療薬・スキリージを発売する。再発・難治性の慢性リンパ性白血病治療薬として承認申請したベネトクラクスの承認の可能性もある。同剤が承認されれば、アッヴィ日本法人としては初のオンコロジー領域の薬剤となる。
◎慢性リンパ性白血病薬でオンコロジー参入 抗体薬物複合体の開発強化へ
フェリシアーノ社長は、オンコロジー領域が、ヒュミラなどの免疫領域、シナジスなどのスペシャルティ領域、マヴィレットの肝炎領域に次ぐ「4つ目の成長エンジンとなる」と述べ、ベネトクラクスの承認を見据え事業基盤の構築に取り組む方針を示した。そのためオンコロジー領域を中心に、MSL、MRなどの社員の増員を図る。
国内治験数は69(うち10は検討中)。免疫領域31、オンコロジー領域23と、両領域が中心。オンコロジー領域では、フェーズ2以降に8つ。フェーズ3には、ベネトクラクスの適応追加として多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病。非小細胞肺がん、卵巣がんを対象にしたベリパリブ。小細胞肺がんを対象にしたRovalpituzumab tesirineの3つがある。
開発本部クリニカルサイエンスアンドオペレーションズ統轄部の西庄功一統括部長は会見で、グローバルで非小細胞肺がんや固形がんなどを対象にした抗体薬物複合体(ADC)の開発を日本でも進め、「パイプラインの中心になるようにしていきたい」と、ADCの開発を強化する方針を示した。