薬食審 5月30日に第二部会 中外製薬のがん種横断型治療薬など5製品を審議
公開日時 2019/05/17 03:50
厚生労働省は、5月30日に新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第二部会を開催する。部会では、中外製薬がNTRK融合遺伝子陽性の固形がんを対象とする治療薬として承認申請したロズリートレクカプセルなど5製品を審議する。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ロズリートレクカプセル100mg、同200mg(エヌトレクチニブ、中外製薬):固形がんを対象疾患とする新有効成分含有医薬品。先駆け審査指定医薬品。希少疾病用医薬品。
同社によると、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対する国際共同試験において、がん種を問わず有効性を示すことが報告されている。がんが発現した臓器を問わず、臓器横断的に使用される薬剤は、承認されれば、MSDの免疫チェックポイント阻害剤・キイトルーダに次いで2剤目となる見込み。使用にあたっては、中外の遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx」を用い、適応を判断する。
▽アジマイシン点眼液1%(アジスロマイシン水和物、千寿製薬):結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎を対象疾患とする新投与経路医薬品。
経口剤ではすでに咽頭・喉頭炎、扁桃炎などを適応症に承認を取得している。同剤では、結膜炎などを対象疾患とする点眼薬として承認申請された。
▽シムツーザ配合錠(ダルナビル エタノール付加物/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩、ヤンセンファーマ):HIV-1感染症を対象疾患とする新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。
いずれも日本で既承認の有効成分で4成分を固定用量で配合する。DRV(ダルナビル)とCOBI(コビシスタット)による固定用量配合錠はプレジコビックス配合錠として販売され、他の抗HIV薬と併用して使う。FTC(エムトリシタビン)とTAF(テノホビル アラフェナミド)による固定用量配合錠は日本でデシコビ配合錠として販売され、他のクラスの抗HIV薬と併用して使用されている。
▽ビレーズトリエアロスフィア56吸入、同120吸入(ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物、アストラゼネカ)
▽ビベスピエアロスフィア28吸入、同120吸入(グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物、アストラゼネカ)
:慢性閉塞性肺疾患を対象疾患とする新医療用配合剤。
ビレーズトリエアロスフィアは3剤併用、ビベスピエアロスフィアは2剤併用のCOPD治療薬。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽サイラムザ点滴静注液100mg、同500mg(ラムシルマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):肝細胞がんを効能・効果に追加する新効能医薬品。
ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体。すでに治癒切除不能な進行・再発の胃癌、結腸・直腸癌や、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果に承認を取得している。
▽リムパーザ錠100mg、同150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):卵巣がんを効能・効果に追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。
すでに白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法の適応症などで承認を取得しているが、今回はBRCA陽性の初発の卵巣がんを適応とする。同剤は、経口ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、BRCA変異などのDNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。