厚労省 MSDに行政指導 有効期間超の試薬とデザレックス原薬問題で
公開日時 2019/01/11 03:53
厚生労働省は、MSDの肺炎球菌ワクチン「ニューモバックス」の規格試験に有効期間を超えた試薬が使われていた問題で、同社に文書で行政指導を行った。指導は2018年12月27日付。12月には立ち入り調査を実施した。行政指導は、原薬保管施設が厚労省の外国製造業者認定を取得しておらず、製造販売承認書にも記載がないことが判明した抗アレルギー薬・デザレックス錠5mg(一般名:デスロラタジン)の問題もあわせた対応。1月10日に開かれた厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で、同省が報告した。
この問題は、ニューモバックスの試薬の有効期間を延長する手続きが取られておらず、市場流通を続けていたもの。ワクチンを製造する妻沼工場(埼玉県)は18年2月に、有効期間が延長されることに気づいたものの、承認書を変更する必要があることについては十分な認識がなかったという。また製造販売業者である同社の日本法人も、同年9月には承認書の一部変更承認申請が必要であることを認識していたが、手続きがとられていなかった。製品は米国向けと国内向けともに同様の生産拠点で製造されていたが、米国では、18年7月に試薬の有効期間を2年から3年にする延長手続きがとられていた。
厚労省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の磯部総一郎課長は、「アメリカ法人、日本本社、工場の情報共有や対応についての周知が十分ではなかったことが問題だ」と指摘した。
◎MSD 外部委員交えた調査をスタート 日医・釜萢委員は苦言
厚労省は、問題の原因究明と改善策について報告を求めていたが、まだ回答は得られていない。ただ、同社が、弁護士など外部委員を交えた調査を開始していることを明らかにした。磯部課長は、「会社も重く受け止め、弁護士を交えた外部委員会を立ちあげ、徹底した原因究明、対策をすると聞いている」と述べた。
同日の検討会では、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)が、「会社として重大だと認識しているのであれば、何らかの誠意ある対応ある回答を示してもらって当然と感じた」と苦言を呈す場面もあった。
◎高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種を延長 19年度以降5年間
同部会ではこのほか、肺炎球菌の予防接種について、2019年度以降も5年間、65歳から100歳までの高齢者を5歳刻みで接種の対象にすることを了承した。18年度末までの経過措置としていたが、接種を受けていない人の接種を推し進めるため。18年度中に政令を改正する。