がんは進化する、がんは運である
公開日時 2018/08/13 05:00
情熱的読書人間榎戸誠【大学講義の書籍化】『こわいもの知らずの病理学講義』(仲野徹著、晶文社)は、著者の大阪大学医学部の病理学講義を書籍化したものであるが、前半は病理学の基礎知識、後半は「病の皇帝」がんの成り立ち、進化の解説が占めている。【老化と死】「生きていくというのはどういうことか。病理学総論的に考えてみたいと思います。ごく健康に生きているように見えていても、我々は、我々の臓器は、そして、我々の細胞は、常に外部からなんらかの攻撃をうけていることがおわかりいただけたかと思います。そして、それに対応して、『人みな骨になるけれど』、なんとか正常な状態を保とうと、いろいろなメカニズムを駆使してやりくりしている、というのが、生きているということなのです。病気というのは、細胞の働きがいろいろな傷害をま...