小野薬品・相良社長 18年度にオプジーボで4つの適応追加、6つの新薬を国内申請 20年の4剤特許切れ克服に自信
公開日時 2018/04/18 03:52
小野薬品の相良暁社長は4月17日、東京の新社屋で開いた記者懇談会で、2018年度にがん免疫療法薬オプジーボで4つの適応追加と、新薬6製品を日本で承認申請する計画を明らかにした。いずれも19年度の承認取得を見込む。オプジーボは今後、10以上のがん腫の適応を持つ可能性が高い。相良社長は「MR1人で全てカバーするのは難しい」とし、「例えば血液がんと血液がん以外のグループに分けるということも近い将来、必要かもしれない」との認識を示した。MRの増員は様子を見ながら検討すると述べるにとどめた。
20年頃に骨粗鬆症治療薬リカルボン、抗認知症薬リバスタッチ、過活動膀胱治療薬ステーブラ、制吐剤イメンドの特許切れを迎え、パテントクリフの克服が経営課題となる。相良社長は、「当社は今後5年ごとにパテントクリフが予想されるが、20年前後のパテントクリフは(18年度の)申請とその後の承認取得スケジュールをもってほぼ対策は打てた」と述べ、クリフの克服に自信をみせた。
最主力品のオプジーボは現在、6つのがん腫で承認されている。申請中のものには▽悪性胸膜中皮腫(17年12月申請)▽悪性黒色腫の術後補助療法(17年12月申請)▽腎細胞がんファーストライン/抗CTLA-4抗体イピリムマブとの併用(18年1月申請)――がある。
そして、相良社長は「(開発が)順調にいけば」と前置きしたうえで、18年末までに食道がん、19年1~3月に小細胞肺がん、肝細胞がんファーストライン、非小細胞肺がんファーストライン/抗CTLA-4抗体イピリムマブとの併用――の適応追加申請を行うと説明した。
■世界初のがん悪液質用薬アナモレリン、年内申請を計画
オプジーボ以外の18年度の申請計画は、4月中に悪性黒色腫治療薬としてBRAF阻害薬エンコラフェニブとMEK阻害薬ビニメチニブの併用療法、同じく4月中に褐色細胞腫治療薬メチロシン、7月頃に抗パーキンソン病薬オピカポン、年末頃にがん悪液質の治療薬アナモレリンと慢性心不全治療薬イバブラジン――の6製品を予定している。
粟田浩副社長(開発本部長)は、アナモレリンは食欲のなくなるがん患者の食欲を増進して、体重減少を抑える世界初の治療薬として開発中で、全がん腫で使えるよう開発していると説明した。また、がん患者に対する包括的薬物治療を提供していくとし、「日本では19の抗がん剤で臨床開発している」とも語った。
■主力品特許切れ 25年頃にグラクティブ、フォシーガ 30年頃にオプジーボ
同社では25~26年に糖尿病薬のグラクティブとフォシーガ、30年頃にオプジーボが特許切れを迎える。
これら製品のパテントクリフの克服について相良社長は、「25年頃のクリフを十分カバーできるところまで至っておらず、現在は半分ぐらい対応できる目途がたっているところ」とし、「30年の対策は鋭意取り組む。(オプジーボ)クリフをクリアするのみならず、更なる成長を目指して、研究開発やその他の部門で取り組んでいく」と話した。
製品ラインナップの強化や国内外での積極的な創薬・研究提携活動を進めるほか、22年以降を目途に欧米での開発・自社販売展開を実現し、「真のグローバル企業を目指す」と述べた。
■18年度業績「厳しいところある」 薬価改定で14%弱の引下げ影響大きく
18年度薬価改定では会社として14%弱の引き下げ影響を受けた。オプジーボが用法用量変化再算定を受けるなどして薬価が23.8%引下げられたことが主因となる。
オプジーボが15年12月に非小細胞肺がんの適応追加を得たことで会社の売上も急増、15年度は売上1603億円、16年度は2448億円、17年度計画は2600億円と成長軌道にあるが、18年度の見通しは「薬価改定の影響で厳しいところもあるが、18年度末あたりから成長の材料となる承認が取得できると期待している」(相良社長)と述べ、19年度以降の成長に期待を寄せた。