EMA AD病治療薬の開発GL改訂版公表
公開日時 2018/03/22 03:50
欧州医薬品庁(EMA)は2月28日、アルツハイマー型認知症(AD)に対する新たな知見などをベースに企業向けAD治療薬開発ガイドライン(GL)の改訂版を公表した。
近年におけるADの病態生理学など関係医学の進展により、ADの発症は、臨床的症状発現の10~20年前にすでに生物学的変化として始まるといわれている。従って、有効な薬剤を開発するには、治験薬をADの早期段階で評価しなければならないことが示唆されている。
現行のAD治療薬開発GLは2009年に策定されたものだが、このような近年のAD治療薬をめぐる医学の進歩や環境変化に対応するよう、改訂を計画。12年に改訂版のコンセプトペーパーを公表、その後、同コンセプトペーパーを基礎に、14年はADについての最新の科学的知見や治療法を聴取するために行政関係者、医薬品業界代表、専門医、学者、患者らを招き、ワークショップを開催。改訂の機運の盛り上げと関係者の理解の深化を試みた。そして、16年2月にGL改訂案を策定、その後、関係者の意見などを集約、今回のまとめに至った。
EMAは、GL改訂版では、開発企業にAD治療薬開発時に、▽臨床試験デザインにおける早期/無症候性疾患ステージを含むADの新規診断基準の影響▽臨床試験アウトカム評価に使うパラメーターの選択ならびにADの異なる病期段階に対する特定の評価ツール設定の必要性▽バイオマーカー使用の可能性とバイオマーカーと医薬品開発の異なるフェーズならびにADの異なる病期段階における関係▽薬事規制上の意思決定を行う場合の治療効果予測についての目標(目安)▽長期有効性/安全性試験のデザイン――に留意することを求めた。
なお、EMAは同GLを18年9月1日から運用する予定。ADは疫学的には、世界保健機関(WHO)の推計では、全世界で現在360万人が認知症を罹患、30年までには2倍になるという。EUでは現在500万人以上がADに罹患しているとみられる。