大日本住友 北里研究所と共同研究契約締結 薬剤耐性菌感染症治療薬の創製で
公開日時 2017/10/25 03:50
大日本住友製薬と北里研究所は10月24日、薬剤耐性(AMR)菌感染症治療薬の創製を目的に共同研究契約を締結したと発表した。研究期間は2017年10月から10年間を予定している。「共同研究を通じて、従来にない独創的なアプローチを用いて画期的な抗感染症薬を提供することを目指す」としている。
15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大の大村智特別栄誉教授の創薬グループ(以下、大村創薬グループ)と、大日本住友の研究グループが共同で創薬研究に取り組む。複数の大日本住友の研究員を大村創薬グループに派遣し、両者の混成チームで研究を行う。
北里研究所は感染症研究の伝統と実績を有し、大村特別栄誉教授のもとで独創的な抗感染症薬の創製を目指している。大日本住友は世界的に汎用されているカルバペネム系抗生物質製剤メロペンを創出するなど、細菌・真菌感染症治療薬の創薬・開発の実績がある。知識と経験を持つ産学連携によって抗感染症薬の開発を推進し、世界的な耐性菌危機の防止に貢献する考え。
目指す治療薬の特徴は、▽耐性を阻害する▽病原物質を阻害する▽免疫抵抗性を解除する▽物理的に病原菌を排除する――などとしている。
なお、今回の共同研究は日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題(課題名:薬剤耐性(AMR)菌感染症治療薬を目的とした創薬研究)に採択されている。
抗菌薬に対する耐性菌の出現と蔓延は世界的な問題となっている。このまま対策を取らなければ2050年までに薬剤耐性菌の感染症で、死者が年間1000万人、経済損失は100兆ドルといわれ、WHOを中心とした国家・国際レベルでの対策が必要とされている。日本では薬剤耐性対策アクションプランが16年に策定され、この中で薬剤耐性菌感染症に対する新たな治療薬の研究開発も重要な課題として取り上げられている。