米FDA 物質使用障害の治療支援スマホ用アプリを承認
公開日時 2017/09/29 03:50
米食品医薬品局(FDA)は9月14日、物質使用障害(SUD)の治療を支援する、初のスマホ用アプリケーションを承認した。同アプリケーションは、reSETと呼ばれ、アルコール、コカイン、マリファナおよび覚せい剤などのSUD外来患者向けのものである。オピオイド依存症患者は適応となっていない。
FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)のCarios Pena神経学・物理学療法部長は、「今回の承認は、革新的なデジタル技術が患者に対して治療中に新たな治療オプションへアクセスするのを支援することが出来る実例となる」と指摘したうえで、「より多くの治療ツールが登場することは、SUD患者にとって物質乱用抑制を含むアウトカム改善に大きく役立つことを意味する」とコメントした。
米国薬物乱用・精神保健サービス局(SAMHSA)によると、SUDは、患者によるアルコール・薬物などの摂取の反復が健康上の問題、身体的障害、仕事・学校など社会的責任の放棄など臨床的および機能的に重要な障害をもたらした時に起きる。
reSETは、患者スマホアプリと医師ダッシュボード(医師用パソコン画面)を包含するモバイル用医療アプリケーションシステムである。同アプリは、SUD治療に助けとなるスキルを患者に教え、物質乱用の抑制を促し、行動変容を促すことによって外来患者プロ治療グラムの持続を図る、認知行動療法の1つと位置付けられる。
同アプリは、外来療法と併用され、外来での治療計画を順守させるために患者への一連のインセンティブを使ってSUDを治療する随伴性マネジメントシステムに上乗せする格好となる。同システムは、医師の処方せんの発行を必要とする補助療法となっている。
同アプリケーションの作製は、医療用デジタルアプリケーションを専門とするPear Therapeutics社である。
Pear Therapeutics社のCorey McCann社長兼CEOは、医療用デジタル治療支援システムが今後、広義での中枢神経系障害や疼痛などの分野で患者アウトカム改善に大きな望みを与えるとの考えを示したうえで、今回の承認について、「わが社は、FDAがこの画期的技術を審査するにあたり、示してくれた協力に感謝したい」とコメントした。