EMA、EC Brexit対応のQ&Aガイダンス発表
公開日時 2017/06/14 03:50
EMA(欧州医薬品庁)ならびにEC(欧州委員会)は5月31日、Brexit(英国のEU離脱)交渉の開始を控え、医薬品業界向けに、Brexitにともなう、EMAによる中央審査方式での承認済みのヒト医薬品および動物用薬品の手続き変更や英国における製造施設などについての手続き変更に関してQ&A形式でまとめたガイダンスを発表した。
同ガイダンスは、現在ロンドンに本部を置くEMAはBrexitに伴い、英国以外のEU諸国に移転の予定だが、移転後に、英国で承認取得したヒト医薬品ならびに動物用薬品のステータス、英国における製造所のステータスや希少疾病薬指定の行方など業界関係者からの想定される質問についての回答を試みた。
なお、離脱交渉が順調に行けば、英国は、2017年3月29日にEUに対して離脱通告を行ったので、2年後の2019年3月30日にEUを離脱する。
同ガイダンスが例示した主なQ&Aは次の通り。
Q: 英国において販売承認取得したが、それはどうなるのか?
A: ECの規制下では、販売承認取得は、EUで獲得しなければならない。従って、英国以外のEEA(欧州経済地域:EU諸国、ノルウェー、アイスランドならびにリヒテンシュタイン)における承認取得者に移す義務が生じる。
Q: 英国において希少疾病薬の指定を受けたが、その指定はどうなるか?
A: EU(EEA)における指定に変更する必要があるので、英国以外のEEAにおける指定に移す義務が生じる。
Q: ファーマコビジランス(市販後監視)システムのマスターファイル(PSMF)を英国に設置しているが、これはどうなるのか?
A: PMSFはEEAに設置しておく必要があるため、PMSFをEEA諸国のいずれかに移転する必要がある。
Q: 活性物質の製造施設が英国にあるが、どうすればよいか?
A: 離脱した日現在で、英国で製造されていた活性物質は輸入品と考えられる。従って、EC指令に基づき、GMPガイドラインに順じた輸入手続きが義務付けられる。
Q: 最終製品の製造施設が英国にあるが、どうすればよいか?
A: 離脱した日現在で、英国で製造されていた最終製品は輸入品と考えられる。従って、EC指令に基づき、最終製品は輸入品の手続きが義務付けられる。
Q: 中小企業として、英国においてECの中小企業対策に基づいた財政支援・行政支援を受けていたが、これはどうなるのか?
A: 同様支援を受けたい場合は、企業はEU(EEA)における中小企業の定義に合致し、支援を求めなければならない。
EMAは、今後も同Q&A形式ガイダンスを更新する予定だとし、製薬業界にEMAウェッブサイトの定期的チェックを呼びかけている。EMAの今後の移転地については、現段階では未定で、EU加盟諸国の代表が合意により決定するとしている。