塩崎厚労相 都道府県の保健ガバナンスを抜本強化 地域単位で保健医療のビッグデータを活用
公開日時 2017/04/13 03:51
塩崎恭久厚労相は4月12日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、都道府県に対し、予防・健康・医療・介護の全てにおいて、権限や財政などのガバナンス機能を強化する考えを表明した。都道府県には、地域の医療機関や保険者に対し、自発的な行動変容を促す司令塔の役割を担わせる。この提案を受けて安倍首相は、今年3月末までに47都道府県が策定した「地域医療構想」について「その具体化に向け、実効的な施策をスピード感を持って実施する」よう指示した。
塩崎厚労相はこの日の諮問会議で、都道府県への権限を強化する方針を示した。具体的には、制度(権限)、予算(財政)、情報(データ)、人材の各項目の自由度を高め、地域に見合う施策の実現を目指す。このうち情報の利活用については、「保健医療データプラットフォーム」で得られたビッグデータを都道府県が分析し、当該地域の保険者や患者の行動変容を促す。一例をあげれば、脳卒中患者の治療後の医療・介護サービスの傾向や、抗生物質の処方や重複投薬の状況のデータを分析し、必要な地域施策に即時反映できる。
さらに予算面では、都道府県のインセンティブ制度を拡充し、従来の重症化予防や後発医薬品の使用促進などの施策にアウトカム評価を追加し、医療費適正化の実効的な推進を図る。
◎地域医療構想の実現にアクセル
一方、今年3月末までに都道府県が「地域医療構想」を取りまとめたことを踏まえ、これを実現するための重点施策を講ずる。首都圏や関西圏以外の地域で、今後急速に人口減少が進むことを踏まえ、病院の病床数についても機能の明確化を図るとともに、手術やリハビリ件数、疾病ごとの患者数データなどを国が提供し、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針を集中的に検討する」とした。これらを後押しするため、国は地域医療介護総合確保基金による支援や、2018年4月実施の診療報酬・介護報酬同時改定を通じ、適切な施策を講ずる。
なお、18年度同時改定について塩崎厚労相は、①かかりつけ医機能の普及・促進、②地域医療構想の達成の推進、③費用対効果やアウトカムに基づく評価、④データへルス改革の推進・介護ロボットの活用-などの項目を例示した。
◎診療行為の地域差解消はデータの可視化から
民間議員も社会保障制度改革の推進に向けた提言を発表し、「地域医療構想」の実現に向けて、「具体的な医療機関名をあげた病床の転換等の方針を早急に策定すべき」と指摘した。そのほか一人当たり医療・介護費の地域差縮減に向けた取り組みとして、「診療行為の地域差(SCR=性・年齢を調整したレセプトの出現率)を2017年度中に見える化し、各都道府県において、自治体、保険者、医療関係者からなる協議の場を設け、住民の受療行動や医療機関の診療行為の変化を促す体制を構築すべき」とした。