J-TEC 自家培養表皮ジェイス 先天性巨大色素性母斑向けで保険適用
公開日時 2016/12/05 03:50
富士フイルムグループのジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は12月1日、重症熱傷の治療に使用されている再生医療等製品「自家培養表皮ジェイス」について、生まれつき黒褐色のあざが体の広範囲にみられる疾患である先天性巨大色素性母斑の治療用としても同日付で保険適用されたと発表した。治療が必要な先天性巨大色素性母斑の患者数は新生児の約2万人に1人とされる。
先天性巨大色素性母斑は、悪性化して皮膚がんになる危険性が指摘されている。これまでは母斑を切除して縫い合わせたり、体の他の部位から採取した患者自身の正常な皮膚を移植する治療が行われてきたが、母斑が大きい患者に適さないなどの課題があった。
ジェイスによる先天性巨大色素性母斑の治療では、患者自身の皮膚組織を培養することで製造したジェイスを、患者の母斑切除部に移植する。少量の組織採取によって広範囲の治療が可能となる。患者の負担軽減にもつながる。
保険償還価格は、採取・培養キットが438万円、調製・移植キットが15万1000円(1枚) 。保険適用にあたっては、▽創閉鎖を目的として使用した場合に、原則として、一連の治療計画につき30枚を限度▽採取・培養キットは、一連の治療計画の初回治療月に一回に限り算定▽ヒト自家移植組織(自家培養表皮)を先天性巨大色素性母斑の治療を目的として使用した場合は、診療報酬請求に当たって、他の標準的な治療法では対応が困難であり、当該保険医療材料を使用する必要があった理由が記載された症状詳記を診療報酬明細書に添付する--ことが必要となる。
同社は2016年1月に先天性巨大色素性母斑を適応に追加する承認申請を提出し、同年9月に承認を取得していた。