アステラス製薬が10月28日に発表した2017年３月期第２四半期（４月～９月）で、日本の売上高は2372億円、前年同期と比べ4.0％減だった。４月の薬価改定で前立腺がん治療薬イクスタンジが市場拡大再算定（25％下げ）を受けたことが主に影響した。グローバル戦略品で業績を牽引する同剤だが売上高は9.9％減となった。この日会見した畑中好彦社長は、同剤の再算定が「一番大きく効いた」と指摘。さらに後発医薬品による長期収載品の浸食の速さの一方で「新製品の立ち上がりが従来よりゆっくり」であることも影響しているとの認識を示した。通期の日本売上高は4837億円、2.7％減を見込む。
国内製品売上を見ると、過活動膀胱治療薬ベタニスが27.0％増、消炎鎮痛薬セレコックスが3.0％増、喘息治療薬シムビコート6.5％増、SGLT2阻害薬スーグラ32.8％増と、主な主力新製品は伸長したが、成長製品であるイクスタンジの減収のほかワクチンの出荷自粛、長期収載品の落ち込みで、減収となった。しかし、製品の通期予想では、イクスタンジを含む主力新製品は期初より引き下げ、新製品が想定より伸長していないことをうかがわせた。
スーグラについては期初に通期で125億円を予想していたが、97億円に下方修正した。同社は、「クラス内シェアが競合激化により低下していることが主な要因。期初に折り込んでいた17年４月実施予定だった消費増税に伴う仮需の影響を除いたことも要因の一つ」としている。
全世界の業績は、イクスタンジ、ベタニスの売上増があったものの、600億円余りの為替影響が減収要因となり、5.2％減。他方、原価率の低減や為替影響による販管費減少で、営業利益は18.4％増、純利益も11.8％増となった。通期は減収増益を見込む。
この中で業績の牽引役であるイクスタンジは、全世界の半分を売り上げる米国市場で、中間期は8.3％減となり、通期も期初予想から200億円引き下げ、3.1％減の見通しとなった。同社は「（前立腺がんの）マーケットが予想以上に低く推移した。在庫もマイナスに影響した」と説明している。
【16年度中間期連結業績 （前年同期比）16年度予想（前年同期比）】
売上高 6516億7300万円（5.2％減） １兆3000億円（5.3％減）（修正前１兆3500億円）
営業利益 1570億5700万円（18.4％増）2670億円（7.2％増）（修正なし）
純利益 1150億6400万円（11.8％増）1980億円（2.2％増）（修正前1970億円）
【16年度中間期のグローバル主要製品全世界売上高（前年同期実績）16年度予想、億円】
イクスタンジ 1260（1223）2657（修正前2959）
プログラフ 942（1046）1829（修正前1879）
ベシケア 598（697）1149（修正前1191）
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 457（381）951（修正前1004）
ハルナール/オムニック 235（271）441（修正前464）
ファンガード/マイカミン 201（211）382（修正前404）
エリガード 79（88）153（修正前176）
【16年度中間期の国内主要製品売上高（前年同期実績）16年度予想、億円】
グローバル品
イクスタンジ 118（131）243（修正前257）
ベシケア 130（133）261（修正前272）
ベタニス 124（97）269（修正前274）
ハルナール 48（67）90（修正前94）
プログラフ（グラセプター含む） 248（254）484（修正前478）
ファンガード 56（61）110（修正前115）
ローカル品
ミカルディスファミリー 468（485）947（修正前908）
内、ミコンビ 48（51）
内、ミカムロ 130（127）
セレコックス 241（234）483（修正前504）
シムビコート 187（175）401（修正前411）
ボノテオ 70（71）140（修正前151）
ジェニナック 42（48）100（修正前102）
ワクチン 111（140）302（修正前259）
アーガメイト 30（31）60（修正前61）
キックリン 8（8）16（修正前20）
ゴナックス 22（19）45（修正前46）
シムジア 39（32）80（修正前96）
スーグラ 46（35）97（修正前125）
リピトール 122（163）226（修正前224）
マイスリー 76（92）146（修正なし）
ガスター 56（77）107（修正前105）
セロクエル 41（57）74（修正前72）
※４月発売したレパーサは非開示