米FDA IL-1阻害薬・イラリス 自己炎症疾患の適応追加を承認
公開日時 2016/09/29 03:50
米食品医薬品局(FDA)は9月23日、IL-1阻害薬・Ilaris(日本製品名:イラリス、一般名:カナキヌマブ)について、希少自己炎症疾患3種に対する適応追加を承認した。
適応追加となったのは、▽TNF受容体関連周期症候群(TRAPS)、▽高IgD(イムノグロブリンD)症候群(HIDS)/メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD)、▽家族性地中海熱(FMF)――。いずれの疾患も遺伝性疾患で周期的な発熱および炎症、重度の筋肉痛に特徴づけられる。TRAPSおよびHIDS/MKDについては承認済みの既存治療薬はない。
炎症の原因とされるIL-1βが過剰発現する病態に対し、この作用を阻害することで炎症を抑制するヒトモノクローナル抗体。米国では、2009年にクリオピン関連周期性症候群(CAPS)、13年には自己炎症性若年性特発性関節炎(SJIA)の適応を取得している。
同剤は、スイス・ノバルティスの米法人Novartis Pharmaceuticals Corporation社(本社:ニュージャージー州イーストハノーバー)が製造する。
Novartis Pharmaceuticals社のPaul Hudson最高経営責任者(CEO)は、「同時に3つのFDA適応追加を取得したことは、これら重篤かつ身体を衰弱させる疾患に悩む患者にきわめて大きな転換点となる。Novartisは、これらの疾患は、特に小児においては大変なアンメット・メディカルニーズであるので、その治療薬を強く必要とする人々にこの治療オプションを提供できることを誇りに思う」と述べた。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のBadrul Chowdhury呼吸器・アレルギー・リウマチ製品部長は、「痛みを伴い人生を変えてしまうTRAPSおよびHIDS/MKDという疾患を持つ患者がQOL(生活の質)を改善させる治療法に初めてアクセスできるようになった」と同剤の登場を歓迎した。