EMA声明 英のEU離脱決定は「業務への影響はない」
公開日時 2016/07/12 03:50
欧州医薬品庁(EMA)は7月6日、英国において国民投票でEU離脱を決めたことについて、EMAの今後の手続きや業務手順には影響を及ぼさないとする声明を発表した。EMAはロンドンに本部を置いているため、EU離脱が具体化した際の移転地や今後の業務の遂行についての懸念が業界内に高まっている。EMAは国民投票後、初めて声明を発表し、懸念の声に応えた格好となった。
EMAは、「EMAの諸手続きや業務手順は国民投票の結果による影響は受けない」と断言し、「関連法規制による時間枠で通常通り業務を行う」と述べた。
その上で、「EMAの所在地ならびに運営について構想は、今後の英国とEUとの関係によって決まる。しかし、現段階ではこのことは未知数である。そのため、我々はどのような憶測にもかかわらない」とした。
欧州メディアはすでに、イタリアの当局者や、スェーデン、デンマークの製薬企業が誘致に関心を示していることなどを報じ、移転地の名前が取沙汰されているが、EMAは改めて何も決定していないことを強調した。
しかし、EMAは、数か国の加盟国が将来EMAのホスト国になることに関心を示していることに歓迎の意を示した。所在地についてはEMAではなく、加盟国代表の合意により決定することも改めて確認した。その上で、EMAは、EU加盟国が、英国の国民投票の結果生じた複雑な政治的および法的な実態に照らして、EMAの所在地ならびに諸手続きについて最も適切な決定を行うことに自信を示した。
さらに、EU間の行政機関のネットワークである「European Regulatory Network」を活用して、今後、何らかの変化があれば、具体的情報を欧州各行政機関と情報共有し、支障を起こさないようにする考えを示した。
EMAは、当面、890人の従業員およびすべての専門家により、安全、有効かつ高品質のヒト医薬品および動物薬へのアクセスを確保するというEMAの使命を果たす決意を示した。