アルコール依存症用薬レグテクト 処方患者数シェアでトップ、3月以降は過半数で使用 JMIRIまとめ
公開日時 2016/07/01 03:51
調剤レセプトベースで実際の処方状況を把握・分析する医療情報総合研究所(通称JMIRI)によると、2013年5月に約30年ぶりの新規機序のアルコール依存症治療薬として登場したレグテクト錠(一般名:アカンプロサートナトリウム、日本新薬)が処方患者数でトップシェアとなり、3月以降はアルコール依存症患者の半数以上で使用されていることがわかった。レグテクト発売から約3年で、アルコール依存症治療のベース薬が変わるパラダイムシフトが起こったといえそうだ。
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シアナマイド内用液(同シアナミド、田辺三菱製薬)など既存の抗酒薬は、少量の飲酒でも、二日酔いなどの不快な状態を起きやすくし、アルコール忌避を誘導する。これに対してレグテクトは、アルコール依存になると平時でも脳内に増える興奮性神経伝達物質グルタミン酸の受容体に作用して、飲酒欲求そのものを抑制する。同剤は新規機序の薬剤で、断酒補助薬とのクラスに分類される。
JMIRIのデータによると、レグテクトは15年5月に、それまでトップシェアだったシアナマイドとシェア約45%で並んだ。その後両剤のシェアは数ポイント差で拮抗していたが、15年末頃からレグテクトが抜け出し、直近16年4月にはレグテクトのシェアは54%、シアナマイドが37%で17ポイントの差がついた。
■処方継続率は低く
レグテクトの6か月間の処方継続率が50%に満たないこともわかった。シアナマイドなど抗酒薬の同継続率は60%程度だったが、JMIRIによると、これらアルコール依存症治療薬の継続率は生活習慣病薬などと比べて低いという。今回のレグテクトの継続率の低さは、新薬であるが故の期待値で飛びついた患者の脱落が背景にあると考えることもできそうだ。