武田薬品 iPS細胞臨床応用で京大iPS研と共同研究開始 難病薬など創出目指す
公開日時 2015/12/16 03:52
武田薬品は12月15日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とiPS細胞技術による筋ジストロフィーなどの難病の治療薬やがん治療のための再生医療製品の創出を目指す共同研究を開始したと発表した。武田は10年間で200億円を拠出する。3~5年内に複数プロジェクトの臨床試験入りを目指す。
この共同研究「Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications」(T-CiRA)は、武田の湘南研究所(神奈川県)を拠点に進められる。今回、がん、心不全、糖尿病、神経変性疾患、難治性筋疾患など6領域でiPS細胞技術の臨床応用に向け研究開始。新たな実験室の準備が整う16年4月には研究領域は10領域以上に拡大する予定という。
今回開始した6領域の研究は▽筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究▽1型糖尿病に対する再生医療開発と2型糖尿病に対する創薬研究▽再生免疫細胞を利用した新たながん免疫療法の開発▽筋ジストロフィーやミオパチーなど難治性筋疾患に対する治療薬の研究▽新たな心疾患創薬基盤技術の開発と心不全の新規治療開発への応用研究▽人間の成長・発育に重要な役割を担っている神経堤細胞研究による腎臓、消化器、神経系などに関連する疾患への創薬応用、細胞移植治療応用のための基盤技術開発。
CiRAの山中所長 「死の谷を超えるアプローチ」
この共同研究は、従来からある形とは異なり大学研究者が企業研究所に常駐して取り組むのが特徴という。その点にCiRAの山中伸弥所長(写真左)は同日に湘南研究所内で行われた記者会見で触れ、大学研究室の研究成果を実用化に結び付ける困難さを指す「死の谷」を「一足飛びに飛び越えるアプローチ」と強調し、臨床応用の早期化に期待を寄せた。 。
武田のクリストフ・ウェバー社長(写真右)は会見で、「このパートナーシップは患者にとってイノベーションをもたらすと確信している」と話した。