株式会社電通ビジネス・クリエーション・センター比留間雅人加納潤子前回指摘したように、新しい時代の医療・介護提供体制の形成の渦中にある医師は、製薬企業に対して「医療人としての貢献」を求めている。他方で製薬市場は、社会保障費膨張抑制という社会的大義からして、これ以上の拡大は望むべくもない。医療人として貢献しながらも、その中で、自社製品の市場機会を窺うというのが今後の製薬マーケティングの姿である。そのうえで、さしあたって、医療人としての貢献の基本形を、（1）治療効率を上げるための医薬品情報の提供（2）予防のための情報提供や疾患啓発を含むプログラムの提供――の二つに類型化してみた。この仮説を念頭に、医師や患者といった顧客の視点で製品の価値を多面的にとらえ、それを起点にマーケティング戦略を考える。今回...