日本再興戦略 2020年までに患者データの基盤整備 安全性対策の推進や研究開発に活用を
公開日時 2015/06/23 03:50
政府の産業競争力会議は6月22日、「『日本再興戦略』改訂2015」の素案をまとめ、医療・介護分野では、2020年までに医療版マイナンバーの本格運用を目指すことなどが盛り込まれた。制度の枠組みや個人情報保護の観点などから、年末までに議論を深め、その結果を踏まえて18年度から段階的な運用を目指す。医療版マイナンバーの設立をきっかけに、患者データ、いわゆるビッグデータを安全性対策の推進や研究開発への活用や医療の質向上、費用の適正化などに積極的に活用したい考え。2020年までを目標に、国が保有する患者データの連携を実現するための基盤整備も進める。
医療・介護分野でのICT化をめぐっては、十分なセキュリティー対策を講じた上で、2020年までの5年間集中的な施策を実施する。
まずは、インフラ整備に重点を置き、マイナンバー制度の導入、地域医療情報の連携や電子カルテの普及率向上、患者データの連携を視野にいれた基盤整備などを行う。
地域医療情報の連携は、都道府県が策定する医療計画などで取り組みを記載することをうながし、2018年度までを目標に全国に普及させる。あわせて、電子お薬手帳のさらなる機能向上について今年度中に検討をすすめ、普及を進める。400床以上の地域中核病院での電子カルテ普及率を90%まで引き上げ、中小病院や診療所における電子カルテ導入を促進するための環境整備も図る。
こうしたデータを民間事業者、研究機関などが利活用できるよう、次期通常国会で「代理機関(仮称)」の創設を目指し、環境整備を図る。
◎国家戦略特区 特区薬事戦略相談制度創設で治験期間を短縮、迅速化へ
国家戦略特区では、テレビ電話を活用した服薬指導を認める。また、特区内の臨床研究中核病院で治験期間を短縮し、開発から承認、市販までのプロセスを迅速化する「特区薬事戦略相談制度」を創設し、PMDAにおいて重点的な支援を行う体制整備を進めることなども盛り込まれた。