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武田薬品・ウェバー社長 国内事業 新薬とMR力で「長期品の減収補える」

公開日時 2015/05/18 03:51

 
武田薬品のクリストフ・ウェバー社長は5月15日、東京本社で開いた2015年3月期(14年度)決算会見で、就任から1年間見てきた国内のMR活動について、「医師からの評判を持っている。新製品を患者に迅速に届けることができ、新製品の立ち上がりは非常に強い」と感想を述べた。14年度の国内医療用医薬品売上は、ジェネリック(GE)の市場浸透に伴う長期収載品の売上減を新製品群の伸長でカバーできず4%弱の減収、15年度も減収を見込んでいるが、ウェバー社長は「(新製品やMR活動に)ダイナミックな力があり、長期収載品の落ち込みを補える」と述べ、16年度以降に国内事業が好転するとの見方を示した。

ウェバー社長は国内でのプラス成長に向け、2月発売の酸分泌抑制薬タケキャブや5月20日に薬価収載される週1回のDPP-4阻害薬ザファテックのほか、16年度に承認取得を見込む経口の多発性骨髄腫治療薬ixazomib(一般名)、18年度に承認取得を見込む炎症性腸疾患治療薬vedolizumab(一般名、海外製品名エンティビオ)を挙げ、大型化していく姿勢を見せた。このうちixazomibとエンティビオはグローバル戦略製品で、エンティビオはグローバルで20億ドル以上の売上げが期待できるとしている。

■14年度国内医療用薬3.6%減収 ARBブロプレスは24.8%減収 GE影響大きく

14年度の国内医療用医薬品事業の売上は5613億円、前期比3.6%の減収だった。最主力品のARBブロプレス(配合剤含む)は売上946億円、前期比24.8%減となり、GEの影響が大きかった。タケプロン、経口血糖降下薬ベイスン、同アクトスといった長期収載品も20~30%の減収だった。ブロプレス後継品のARBアジルバは売上454億円、前期比79.4%増、高脂血症治療薬ロトリガは売上132億円、前期比150%以上の大幅増収となったが、ブロプレスなど長期収載品の減収をカバーできなかった。

タケプロン後継品のタケキャブは発売2か月で売上32億円。会見に同席した岩﨑真人・ジャパンファーマ ビジネスユニット プレジデントによると、タケキャブは発売2か月でPPIタケプロンを採用している病院・クリニックの約8割で採用・処方され、立ち上がりは好調という。立ち上がりの速さの一例としては、14年4月に発売した悪性リンパ腫治療薬アドセトリスも挙げ、発売6か月で累積300症例に使われ、現在は同治療薬の対象患者の約7割で使われたと説明した。岩﨑氏は、「タケダには販売直後から迅速な市場浸透を可能にする販売力を有している」と強調した。

なお、これまで開示していた15年度の製品別売上予測は非開示。また、同社広報部によると、15年度に承認取得・発売を見込んでいるのはザファテック、前立腺がん・閉経前乳がん治療薬リュープリンの6か月に1回投与製剤となる。

■岩﨑氏 「国内ナンバーワンポジションを堅持」 MRを再定義し今夏に結論 

岩﨑氏は会見で、国内の医療用医薬品市場について、「ジェネリックの急速な拡大で市場の伸びがフラットになるなか、各社ともどのようにしてこの壁を乗り越えるか、持続成長を果たしていくかに取り組んでおり、当社も決して楽な状況ではない」と話した。それでも、「国内ナンバーワンのポジションを堅持する」と述べ、これからの時代に求められるMR像とカスタマーの検討・再定義していると説明した。夏頃に結論を出す。

MR像を検討・再定義する理由は、▽16年度診療報酬改定で病院機能が急性期、亜急性期、慢性期などに分かれ、中長期的には医療や介護を一体となって地域完結型で提供(=地域包括ケア)する方向にある▽16年度にGEのより一層の使用促進やHTA試行導入が指摘されている――ため。岩﨑氏は、「市場環境が激しく変化」しているなかでも、「タケダMRがベスト・イン・クラスと評価されることで、どのような時代になってもタケダMRが確実に選ばれるようにしていきたい」と述べた。

武田薬品のMR再定義の取り組みは、ミクスOnlineでインタビュー記事を掲載しています。
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https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/51311/Default.aspx

■エンティビオ 発売10か月で売上278億円

なお、同社の連結業績は売上1兆7778億円、前期比5.1%増だった。国内のアジルバとロトリガ、米国での多発性骨髄腫治療薬ベルケイドの伸長のほか、14年6月に欧米で新発売したエンティビオが278億円を売り上げたことが業績に大きく寄与した。利益面は米国でのアクトス訴訟の和解に要した費用として2741億円を計上したため、各利益段階で赤字となった。同社は15年度に「長期的な売上、利益成長へ向けた体制整備」を行うとしており、今後の成長ドライバーに▽消化器系疾患領域▽オンコロジー領域▽新興国――を挙げて、取り組みを強化するとしている。

【14年度連結業績(前年同期比)、15年度予想(前年同期比)】
売上高 1兆7778億2400万円(5.1%増) 1兆8200億円(2.4%増)
営業利益 △1292億5400万円(-) 1050億円(-)
税引前利益 △1454億3700万円(-) 1150億円(-)
純利益 △1457億7500万円(-) 680億円(-)

【14年度グローバル主要製品売上(前年同期実績)、億円】
ベルケイド 1527(1313)
カンデサルタン 1257(1571)
リュープロレリン 1240(1268)
パントプラゾール 1037(1037)
ランソプラゾール 1029(1197)
デクスラント 623(503)
コルクリス 588(519)
ネシーナ 443(404)
ユーロリック 332(269)
アミティーザ 320(257)
ピオグリタゾン 310(368)
エンティビオ 278(-)
アドセトリス 229(136)
カルシウム 213(197)
アクトベジン 209(264)
タコシール 179(170)

【14年度国内主要品売上(前年同期実績) 15年度予想、億円】
ブロプレス※ 946(1258)減収見込み
リュープリン 576(645)減収見込み
タケプロン※ 525(676)減収見込み
アジルバ 454(253)増収見込み
エンブレル 412(454)非開示
ネシーナ※ 384(380)増収見込み
ベクティビックス 183(194)非開示
レミニール 139(123)非開示
ロトリガ 132(52)増収見込み
ベイスン 112(161)減収見込み
アクトス 108(155)減収見込み
ベネット 104(116)非開示
ロゼレム 66(60)増収見込み
タケチャブ 32(-)増収見込み
アドセトリス 28(-)増収見込み
※は配合剤などを含む
15年度予想は同社広報部に対する本誌取材によるもの
 

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