抗がん剤 グローバルで1000億ドル市場に 対前年比10%成長 IMSデータ
公開日時 2015/05/14 03:50
2014年の世界の抗がん剤薬剤費は、対前年比10.3%増の1000億ドルに達したことが分かった。抗がん剤市場は、高齢化などにより、罹患率の上昇や分子標的薬の普及などで成長を続けている。米医薬専門誌「Fierce Pharma」が、IMS Institute for Healthcare Informaticsのまとめた「がん治療における進展、市場ダイナミクス、患者アクセスと価値:グローバル抗がん剤トレンド報告」(Developments in Cancer Treatments, Market Dynamics, Patient Access and Value: Global Oncology Trend Report 2015)の概要を5月5日付で報じた。
全世界の抗がん剤薬剤費は、5年前の750億ドルから急成長した。主に先進国での大型分子標的薬の相次ぐ上市が大きく寄与、過去5年間の複合年間成長率(CAGR)は14.6%になるという。
IMSはこの傾向がすぐに変わることは考えられないとし、2018年まで、CAGRは6~8%が見込めると予想。2018年には抗がん剤薬剤費は1170億ドルから1470億ドルの間に達するとみている。IMSは、市場の一定程度は安価なバイオシミラーにとって代わられるが、診断率の上昇や治療率の向上がこれを相殺すると説明している。
しかし、保険支払者からの抗がん剤の価格への「反撃」をどう躱すかが問題となることを指摘している。Gilead Science社のSovaldiを始め高価なC型肝炎治療薬の価格に「噛みついた」PBM(薬剤給付管理会社)Express Scripts社のSteve Miler CEOは、C型肝炎治療薬の価格を下げさせたときよりも大きな努力をして、「抗がん剤の価格に攻撃を仕掛ける準備をしている」と公言している。さらに、「我々は2016年までに市場に影響を与えるようにしたい」と価格引き下げ交渉に意気込みをみせる。
IMSは、2020年までには、複数のがん種にまたがる遺伝子を標的とした開発や免疫療法剤の浸透で複数の適応を一度に取得する開発が広がるとみている。2014年に上市された88剤の抗がん剤のうち、複数の適応を取得したのは約半数の48剤となっている。