【World Topics】国際化時代の感染症:ディズニーランド発の「はしか」の流行
公開日時 2015/03/06 03:50
昨年12月カリフォルニア州のディズニーランドから感染が広がった「はしか」の流行は、年を越えてもおとろえず、1月に CDCに報告された新たな感染例は全米17 州およびワシントンDCあわせて141例で、このうち113例(80%)がディズニーランド発であった。2014年にCDCに報告された「はしか」は644例(27州)にのぼり、米国の「はしか撲滅」宣言(2000年)以来最多であった。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
http://www.cdc.gov/measles/cases-outbreaks.html
遺伝子解析によって、ディズニーランドの感染源ウィルスはフィリピンからのものであることが明らかになったが、感染経路は不明。海外からの旅行者と推測されている。国際化時代、全米各州はもとより世界中から観光客が訪れるアミューズメントパークであれば、当然考えうるリスクではある。
ディズニーランドからの直接感染が確認されている例はカリフォルニア州、アリゾナ州はもとよりコロラド州、ミシガン州、オレゴン州など全米7州にわたっているが、さらにカナダ(10例)、メキシコ(2例)でも確認されており、感染の拡大も国際的だ。
今回の流行で世論をわかせているのが「予防接種」問題。米国で発症した患者の大半がはしかの予防接種をしていなかったことから、法定伝染病の予防接種をすることの社会的責任があらためて問われている。
米国では宗教や信条を理由に法定予防接種を受けない権利を行使するケースがあり、就学児童で受けてない予防接種がある子の割合は全米平均では3.1%だが、ディズニーランドのあるカリフォルニア州オレンジカウンティでは 就学児童の約10%が「受けている」予防接種がある。
保護者が予防接種を回避する理由のひとつは、予防接種が自閉症の原因になっているのではないかという懸念だ。「科学的根拠はない」と言われながら、保護者の間にはなお根強い不安や不信がある。自閉症の発症率の高いカリフォルニア州で予防接種回避の傾向が強いのはそのため。CDCはこのような懸念に特化した 情報提供をおこなっている。
http://www.cdc.gov/vaccinesafety/concerns/autism/