アッヴィ シャイアー買収の見直しを発表
公開日時 2014/10/17 03:50
米アッヴィは10月15日、アイルランドのシャイアーの買収を見直すことを発表した。アッヴィは、7月に、シャイアーを総額約550億ドル(5兆8300億円:1ドル=106円)で買収することで合意したことを発表していた。アッヴィは、シャイアー買収の理由のひとつに、米国より法人税率の低い、シャイアーの本社所在地アイルランド・ダブリン市に本社を移転させることによる節税(Tax Inversion)が挙げられていた。
しかし、製薬業界で、ファイザーのアストラゼネカ買収オファーなどTax Inversionの動きが加速化するなか、Tax Inversionを好ましくないと考えていた米財務省は、9月22日にTax Inversionを行っても税制上のメリットの出ないような規制を打ち出した。
アッヴィは、早速その対策を受けて今回の対応に踏み切ったとみられる。買収発表時には、株主に対してシャイアー買収へ賛同の勧告を行っていたが、今度は、その勧告を撤回するか修正するとしている。アッヴィは取締役会を10月20日に開催し、撤回もしくは修正案について協議することを明らかにした。
一方、シャイアーは、同日ただちに声明を発表。米財務省の新規制により、アッヴィが同社買収を撤回するか修正するとの通知を受領したとしたが、課税についての詳細な分析や合併した場合の米政府の新規制による影響についての試算などは受け取っていないことを明らかにした。
その上で、シャイアーの取締役会としては、両社の合意に基づき、アッヴィが合併を進めることを信じるとしている。ただ、同社はアッヴィが買収方針を変更、もしくはアッヴィの株主による買収の承認が取得できなかった場合、違約金16億3500万ドル(1733億1000万円)を支払うことを求めている。