認知症薬の市場予測 22年に2420億円に 13年実績比で1000億円増 富士経済
公開日時 2014/08/01 03:51
富士経済はこのほど、中枢神経領域の治療薬を中心に市場規模予測をまとめ、認知症治療薬市場は2022年に2420億円となり、13年実績から1000億円ほど規模が大きくなると分析した。認知症市場では、薬物療法の中心となっているコリンエステラーゼ阻害薬アリセプトのジェネリック(GE)の市場浸透が進んでいるものの、高齢者人口の増加や市場に多くの新薬があることから、市場は大きく拡大するとしている。
この分析は同社専門調査員のヒアリング調査をもとにまとめたもの。調査期間は14年3~5月。
分析結果をみると、認知症治療薬の市場規模は13年に1380億円、前年比14.8%増となった。年間売上1000億円以上のアリセプトに11年末にGEが登場したが、同年上半期にアリセプトと同系統のレミニール、イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ、新規機序のNMDA型受容体拮抗薬メマリーといった新薬が相次ぎ上市された。市場の構造がいまも変化しているが、22年に向けて市場自体は右肩上がりに推移すると分析している。
■抗うつ薬 22年に1500億円市場 SNRIやNaSSAが市場けん引
抗うつ薬市場は13年に1176億円、前年比0.8%減となった。市場をけん引していた選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)にジェネリックが登場するなどしてSSRI市場が縮小したことが、マイナス成長の要因のひとつ。しかし、22年の市場規模は1510億円と予測し、13年比で28.4%増になると分析した。セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)のサインバルタや、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)のレメロン/リフレックスといった新規機序の新薬の成長や患者数の増加のほか、併用療法の広がりもその理由に挙げている。
■慢性疼痛治療薬 22年の市場規模 13年比で7割増
慢性疼痛治療薬市場は13年に866億円、前年比24.8%増、22年には1490億円、13年比で72.1%の大幅増になると予測している。11年に帯状疱疹後疼痛の適応でリリカが上市され、対象疾患も広げたことで市場も急成長。さらに同年にトラムセット、ノルスパンといった新薬も登場したことも、市場活性化につながった。
22年に向けて市場がさらに成長すると分析した理由について同社は、「パソコンやスマホの普及で慢性の腰痛や肩こりなどが増加しているものの、一般用医薬品や鍼灸、あん摩など東洋医学に基づく施術で対処している患者も多い」として、慢性疼痛治療薬での治療患者は現在一部にとどまっていることを理由に挙げている。また既存薬でコントロール困難な患者に対する処方増も市場成長に寄与すると分析している。
以下の関連ファイルには、認知症治療薬、抗うつ薬、慢性疼痛治療薬、多発性硬化症治療薬の市場規模の推移に加え、▽中枢神経▽疼痛▽婦人科・産婦人科▽小児科――の各領域の市場規模推移をまとめた図表を掲載しています。無料でダウンロードできます。