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東京医大・小田原教授 トホグリフロジンはSGLT2選択性高い 安全性に優れる可能性

公開日時 2014/03/31 03:52

東京医科大学内科学第三講座主任教授の小田原雅人氏(写真右)は3月28日、「新たな作用機序を持つ2型糖尿病治療薬」と題したメディアセミナー(主催:サノフィ)で講演し、SGLT2阻害薬トホグリフロジンについて、「(現在6成分ある)開発中のSGLT2阻害薬の中でSGLT2に対する選択性が高く、SGLT1を阻害した場合などに考えられる副作用が起こりにくい」との見方を示した。薬理作用を検証した基礎研究のデータに基づくもので、現時点では他のSGLT2阻害薬に対する臨床的優位性を実証したデータがない点も指摘した。
 
SGLT2阻害薬は腎臓で血糖を再吸収するSGLT2の作用を阻害し、過剰な糖を尿中に排出する新しい機序の血糖降下薬。小田原氏によると、SGLT2阻害による血糖低下作用は1970年頃から見いだされていたものの、当初はSGLT1も同時に阻害したために重篤な下痢などの副作用が発生し、開発に時間を要したという。SGLT1は腎や小腸、心臓でも発現しており、心臓への影響も考えられる。そうした点から、小田原氏はSGLT2の選択性が高いトホグリフロジンについて、「安全性が高いと考えられる」と述べた。
 
トホグリフロジンの国内フェーズ3試験では、HbA1c値1%程度の血糖降下作用のほか、体重、血圧、腹囲、脂質値、尿酸値でも良い影響が示されている。小田原氏はこのうち血圧に対する影響について「収縮期血圧が8mmHg程度下がっており、他のSGLT2阻害薬と比べても良く下がっていた」とした。ただ、あくまでも治験データに基づく見解で、その作用機序や他薬との比較についても現時点では明らかではないとしている。
 
◎DPP-4阻害薬での経験生かし安全な導入を
 
小田原氏は、SGLT2阻害薬の適正使用についても触れた。SGLT2阻害薬では、尿糖排泄に伴う浸透圧利尿作用から投与直後からの多尿や脱水が想定されるが、同氏は、投与初日から立ちくらみなどの起立性低血圧の症状を注意深く観察し、水分補給も促す必要があると指摘した。また、尿糖排泄の際に細菌感染リスクが高まることから、尿路感染症や性器感染症についても慎重な観察を求めた。
 
経口血糖降下薬の新薬の安全性の問題としては、2009年に発売されたDPP-4阻害薬で重篤な低血糖が相次ぎ発生した例がある。該当例の多くがSU薬高用量を服用する高齢者だった。小田原氏は「SGLT2阻害薬はインスリン分泌系の薬剤ではないため単独での低血糖リスクは少ない」としながらも、「(血糖降下作用の)薬効は強い。SU薬を高用量使用している患者に上乗せする時は、SU薬の用量を減らした方が良いのではないか」と併用療法では注意が必要との見方を示した。薬剤特性や適正導入の観点から、「非専門の先生方には、筋肉量の低下した高齢者への使用を最初は控えて欲しいと伝えている」とも語った。
 
◎体重減少作用 心疾患リスク軽減に期待
 
近年、2型糖尿病患者の血糖管理状況が改善傾向にあるものの、BMI値は右肩上がりに推移し、12年時点で平均24.9になっている。この点について小田原氏は、「肥満は動脈硬化性疾患や心血管疾患のリスクとなる」と述べ、BMI値の悪化傾向は糖尿病治療が抱える大きな課題と指摘した。SGLT2阻害薬には体重減少などの多面的な作用が見られることから、「それらの疾患予防や進行抑制につながる可能性がある」として、SGLT2阻害薬の臨床的意義を語った。
 
国内開発されたSGLT2阻害薬は6成分あり、イプラグリフロジン(製品名:スーグラ)が一番手として4月中にも薬価収載される見込みになっている。トホグリフロジンは3月24日に他2成分と共に二番手で承認され、5~6月の薬価収載が目されている。サノフィと興和が2ブランド2チャネル(製品名:アプルウェイ/サノフィ、デベルザ/興和)で販売する。
 
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