各社薬価改定影響 田辺三菱は約6% 主力品の市場拡大再算定で 武田は新薬加算で2%台
公開日時 2014/03/06 03:52
ミクス編集部は4月実施の薬価改定が3月5日に官報告示されたことを受け、製薬各社に対し改定影響調査を行った。回答のあった企業48社を集計したところ、厚労省発表の全体の改定率2.65%に対し、内資大手クラスでは、アステラス製薬、第一三共、エーザイは3%台と平均より若干高めとなった。一方、消費増税の補てん分も上乗せとなり3%近いプラス改定となる新薬創出加算適用の主力品を持つ大塚製薬と武田薬品は、それぞれ1.4%、2%台半ばと比較的低い影響率となった。そのほか主力品の生物製剤レミケードが市場拡大再算定を受けた田辺三菱製薬の影響率は約6%だった。(製品改定率は汎用規格)
◎大塚製薬 エビリファイ、イーケプラが新薬創出加算適応で影響率1.4%
企業別の影響度をみる。武田薬品はDPP-4阻害薬ネシーナが市場拡大再算定を受けて約10%引き下げとなったものの、「2%台半ば」にとどまった。その背景は、生物製剤の関節リウマチ薬エンブレル、ARBアジルバ、抗がん剤のベクティビックスなど主力品が新薬創出加算を獲得し、全体の影響を緩和したことがうかがえる。
大塚製薬は、最主力品の脳梗塞発再発抑制に用いるプレタールが6.6%の引き下げとなった。一方で主力の抗精神病薬のエビリファイ、抗てんかん薬イーケプラが新薬創出加算適用で、全体の影響は1.4%にとどまった。
◎アステラス、第一三共、エーザイは長期品の特例引下げで2桁成分適応
アステラス製薬、第一三共、エーザイはそれぞれ、長期収載品に対する特例引き下げ(1.5~2.0%)に2桁の成分が適用になった。これに対し、武田薬品と大塚製薬は1桁にとどまっていることも影響率を緩和した背景にあると考えられる。
一方、約6%となった田辺三菱製薬は、同社の国内医療用薬売上の約2割を占めるレミケードが市場拡大再算定で約11%引き下げられたことに加え、新薬創出加算品目に大きな売上がなかったことが影響率を比較的大きくした。加えて、特例引き下げ適用成分数が25と多かったことも影響したとみられる。
他方、同様に市場拡大再算定で最主力品のDPP-4阻害薬グラクティブが約10%引き下げられた小野薬品は4%弱となった。主力品の骨粗鬆症薬リカルボン、制吐剤イメンド、抗認知症薬リバスタッチが新薬加算を獲得しているうえ、特例引き下げは7成分だけだった。
日本ケミファは約11%、MeijiSeikaファルマは約7%となった。影響率が大きいのは価格競争が激しいジェネリックの改定率が大きいためだ。
◎ノバルティス、AZ、NBIは3%台、ファイザーは2%程度
国内医療用薬売上2000億円以上の外資系メーカー(影響率開示企業のみ)では、ノバルティス、アストラゼネカ、日本ベーリンガーインゲルハイムが3%台。外資で売上トップのファイザーは2%程度で、主力品の疼痛薬リリカ、関節リウマチ薬エンブレルが新薬創出加算の適用を受け、同加算取得が計30成分と最も多かったことが背景とみられる。
訂正(6日11時55分)
制吐剤リカルボンとあったのは、正しくはイメンドです。下線部を訂正しました。
以下の「関連ファイル」から、製薬各社を対象にミクス編集部が行ったアンケート調査結果をダウンロードできます(無料)。各社別の薬価改定影響率、主要製品の改定率、長期収載品のいわゆる「Z2」が適用された品目数をまとめました。