禁忌薬剤の投与で注意呼びかけ 日本医療機能評価機構が安全情報
公開日時 2014/01/17 03:51
日本医療機能評価機構は1月15日、不注意により本来投与してはいけない患者に対し薬剤を投与し、症状を悪化させた医療ミスが報告されたとして、「医療安全情報」(No.86)を発表し、医療従事者に注意を呼びかけた。禁忌薬剤を投与したミスは、同機構の医療事故収集事業で2010年1月から13年11月までに8件報告されたという。
安全情報では2症例を紹介。一つはパーキンソン患者にせん妄が現れ、医師が看護師に指示し抗精神病薬セレネース注(大日本住友製薬)を投与したもの。添付文書では同患者は禁忌だった。投与後、患者はパーキンソン病の筋強剛が悪化。医師、看護師共に禁忌であることは知らなった。
もう一つのケースは、大腸ポリープ切除の前処置として、医師は腸管洗浄薬のビジクリア配合錠(ゼリア新薬)を処方したもの。患者は禁忌の腎不全患者だった。患者は服用後、しびれや筋拘縮などが起こるテタニー症状が現れた。医師は禁忌であることを知らなかった。
禁忌に対し投与されたと報告があった薬剤は次のとおり(報告数はセレネースのみ2件、他1件)。
禁忌:重度の腎障害・腎不全
グリコラン錠(経口血糖降下薬、日本新薬)
ザイザル錠 (アレルギー性疾患治療薬、グラクソ・スミスクライン)
ティーエスワン配合錠(代謝拮抗薬、大鵬薬品)
ビジクリア配合錠 (経口腸管洗浄薬、日本新薬)
禁忌:パーキンソン病
セレネース注(抗精神病薬、大日本住友製薬)
禁忌:消化管穿孔疑い
バリエネマHD75%(ディスポーザブル注腸造影剤、日医工)
禁忌:血友病
ネオラミン・マルチV注射用(高カロリー輸液用総合ビタミン剤、日本化薬)