GLP-1受容体作動薬 使用に積極的が3割 消極的は半数近く 糖尿病専門医調査
公開日時 2014/01/09 03:51
医師専用サイトを運営するメドピアはこのほど、代謝・内分泌科を標榜する医師を対象に、2型糖尿病に用いるGLP-1受容体作動薬の処方状況を調査した。その結果、積極的に処方している医師は29.3%、積極的に処方していない医師は48.4%、処方したことがない医師は22.3%――だった。使用に消極的な医師が半数近くを占めたが、寄せられたコメントでは、、注射剤のため患者の受け入れが悪いといったもののほか、症例選択が困難とする内容が散見され、市場でのGLP-1受容体作動薬の位置付けが定まっていない状況が見受けられた。
調査は11月12日~18日に同社会員医師を対象に実施した。有効回答数は184件。
GLP-1は食事摂取に伴って消化管から分泌されるインクレチンホルモンのひとつで、膵臓のインスリン分泌を促す。GLP-1受容体作動薬はこれと同様の作用を有する。血糖値に応じて作用するため低血糖リスクが低いほか、胃内容物排出遅延や食欲の抑制作用による体重減少効果も認められている。
今回の調査で、積極的に使用していると答えた医師のコメントには「(体重減少の)効果をかなり実感している」とあったほか、積極的に使用していない医師も「肥満患者のみ対象としている」と位置付けており、体重減少作用が診療現場で認められていることがうかがえた。
一方、「積極的に処方していない」(回答率35.9%)、「現在は積極的に処方していない」(同12.5%)とした医師のコメントでは、「インスリンと比較して血糖コントロールのパワーが見通しにくい」「罹病期間が長くない、比較的初期の糖尿病への処方が推奨されている。ただ、発症早期は内服薬でもコントロールできることが多い」といった内容がみられた。また「グルカゴン抑制は興味深い機序で、むしろ1型糖尿病への適応拡大を望む」との声も寄せられた。
GLP-1受容体作動薬は現在4製品が発売されているが、1日2回投与タイプから週1回投与タイプまで幅があり、併用条件も製剤によって違いが見られる。また、簡便に投与できるペン型もあれば粉末の懸濁が必要な通常の皮下注製剤もある。今後、併用条件の解除、投与法が簡便なデバイスの登場が見込まれるが、新薬の開発も進行中で、週1回投与タイプの▽アルビグルチド(GSK)▽ dulaglutide(日本イーライリリー)▽semaglutide(ノボ ノルディスク)がフェーズ3の段階にある。既存薬の改良や新薬の登場により、将来的にこの薬効群の評価が変わっていく可能性もありそうだ。