今を時めく社長たちの挫折脱出法があっという間に学べる本
公開日時 2013/10/18 05:00
イーピーエス株式会社
榎戸 誠
【悩んでいるあなたへ】
現在のあなたの状態が、「○会社がつまらない、○ついつい人の目を気にしてしまう、○プライドが高い、○考えているだけでなかなか実行に移さない、○自分に自信がない、○このままでいいのか常に悩んでいる、○いつも目の前の仕事から逃げている、○まだ本気を出していないだけだと思っている、○集中力がない、○何をしたい、どうなりたいのかわからない」のどれか一つでも当てはまるなら、『カリスマ社長の大失敗――不適応、降格、事業の挫折に倒産の危機・・・でも、あきらめない!』(國貞文隆著、メディアファクトリー新書)を手にして、これはと思う人物のページを読むことを勧めたい。
【あっという間に読める】
この新書には、国内外の今を時めく30人の社長が取り上げられている。ということは、一人ひとりにそうそうページを割けるわけがなく、短い人は3ページ、長い人で11ページに過ぎないから、一人分はあっという間に読める。落ち込んでいる時、悩んでいる時、気力が萎えている時は、この短さがいいのだ。
【この社長も悩んでいたのだ】
「ここで取り上げるすべての人物は、失敗や挫折を繰り返しながら、なおも自分をあきらめなかった人々だ」。
例えば、「藤田晋(サイバーエージェント社長)」では、藤田の著書『渋谷ではたらく社長の告白』から、このような一節が引用されている。「私は絶望の淵に立たされていました。目の前は限りなく暗く、道行く人は目に入りませんでした。世界中に誰ひとりとして味方はいませんでした。顔はやつれ、神経がおかしくなりそうでした。世界でたったひとり。私は孤独でした」。
また、「孫正義(ソフトバンクグループ創業者)」は、こんなふうである。「在日韓国人という出自が、自分の人生に重くのしかかっていたことだ。・・・しかし創業直後、大きな壁にぶつかってしまう。慢性肝炎で3年半ほど入院生活を余儀なくされたのだ。『だから、最初に入院したとき、泣きましたよ、ぼろぼろにね。まだ会社始めたばかりで、子どもも生まれたばかりだというのに、長期に入院しなければならなくなった。自分にはあふれるばかりの情熱とエネルギーがある。事業をこのまま続けていきさえすれば、いつかそれなりの大きな成功ができるという気持ちもある。それなのに、医者は遠回しに、あと五年ぐらいの命だという。それはもう、とんでもなく落ち込みました』」。常にピンチをチャンスに変え、失敗をステップにして生き残ってきた孫の生き方は、我々
に一度や二度の失敗で途方にくれるなと叱咤激励しているというのだ。
「柳井正(ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)」も興味深い。「田舎出身の内気で無気力な青年が何も挑戦することなく、ただ時間を無駄にしているようにしか思えない。組織で働くサラリーマンの経験は、わずか10ヵ月で終わった。退社後はアメリカ留学を試みるが、実際は東京で半年ほどぶらぶらして、帰郷することになった。結局、父が経営する(小さな)紳士服店で働くことになったのだ。・・・以来10年以上、田舎の洋服店で経営の基本を身に付けていった。東京や大阪の大都市とは異なり、片田舎で一人、仕事をするのは心細いものだ。刺激は少なく、商圏も小さい。スピード感もない。人も少ない」。山口の一中小業者に過ぎなかった時の柳井は、誰からも評価されず劣等感の塊だっただけに、「おそらく人間は、満たされていないことや劣等感を引き金にして頑張れるし、行動を起こそうと思うのではないだろうか。何もかも満たされていたり、まったく劣等感がなかったとしたら、きっと何も行動は起こさないのかもしれない」という柳井の言葉が説得力を持って迫ってくる。