日本糖尿病学会が定める血糖コントロール目標が、６月１日から、「血糖正常化を目指す際の目標、HbA1c 6.0％未満」、「合併症予防のための目標、HbA1c7.0％未満」、「治療強化が困難な際の目標、HbA1c8.0％未満」の３つのカテゴリーに改訂された。

従来の血糖コントロール指標は、全糖尿病患者で一律に行う「優」「良」「可（不十分）」「可（不良）」「不可」の５段階評価だった。しかし同学会は、▽HbA1c値の国際標準化によるNGSP値の単独表記の推進▽糖尿病診療と予防の国内外におけるエビデンスや状況――を受け、見直しを行った。

新基準では、患者の年齢や罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に目標値を設定した。具体的には、適切な食事療法や運動療法のみ、または薬物療法中でも低血糖などの副作用がない場合には「血糖正常化を目指す際の目標」であるHbA1c 6.0％未満を目指し、低血糖などの副作用やその他の理由で治療の強化が難しい患者では「治療強化が困難な際の目標」としてHbA1c8.0％未満を目標値とする。

これらに該当しない、多くの患者は「合併症予防のための目標」としてHbA1c7.0%未満を目指す。このHbA1c7.0％未満に対応する血糖値としては「空腹時血糖値130mg/dL未満、食後２時間血糖値180mg/dL未満」としている。

これらの改訂内容は同学会が４月23日に公式サイトで発表したもの。さらに５月に開催された同学会学術集会では、「多くの糖尿病患者さんにおける血糖管理目標値をHbA1c 7% 未満とし、より良い血糖管理などを通じて糖尿病の合併症で悩む人々を減らすための努力を惜しまない」とする「熊本宣言」を行った。