武田薬品 新MR体制へ ネシーナ、エンブレル、がん・免疫、整形外科の専門MR配置
公開日時 2013/05/10 05:02
武田薬品は5月9日に開いた2013年3月期(12年度)決算説明会で、日本市場について、▽糖尿病用薬ネシーナの単剤と配合剤▽降圧剤アジルバ▽高脂血症用薬ロトリガ――といった生活習慣病領域の新薬の早期売上最大化などに取り組むことで、「国内シェアナンバー1を堅持する」との考えを示した。加えて、新薬を持つがんやリウマチ領域なども強化する。そのため営業体制を改め、全製品を担当する「ジェネラルMR」をベースとしつつ、彼らをサポートする専門MRを配置し、営業組織が一体となって活動する「ハイブリッドMR体制」を構築していくことを明らかにした。
12年度の国内の医療用医薬品売上は5884億円で前期比0.6%の減収となった。糖尿病用薬アクトスや降圧剤ブロプレスの12年度薬価改定による減収分を、新薬群がカバーしきれなかった。13年度は生活習慣病領域やがん領域などの新薬群の成長を加速させる方針で、このために営業体制も“進化”させる。
具体的には、MR数はこれまでと変わらず2000人体制で展開する。この多くが「ジェネラルMR」だが、▽がん・免疫専門MR▽ネシーナ専任MR▽エンブレルに活動の比重を置いたMR▽整形外科領域専任MR――が必要に応じてジェネラルMRをサポート。情報の量と質の両面から、医師らの医薬情報に対する満足度をより向上させる。整形外科領域専任MRは、低用量アスピリンやNSAIDs投与時の胃潰瘍再発抑制の適応を持つタケプロンや骨粗鬆症治療薬ベネットなどの製品を担当する。
同社はこの日の決算説明会で、「新たなコマーシャルモデルの構築による国内シェアナンバー1の堅持」を日本市場の中期成長戦略のミッションに掲げたと説明した。
◎ARBアジルバ 13年度売上目標を320億円に設定 キレの良さを訴求
国内市場の主な新薬群の12年度売上と13年度目標を見てみる。アジルバは、12年度売上が34億円だったが、13年度は320億円を目指す。国内の高血圧症患者は約4000万人で、うち約半数は血圧コントロールが不十分とされる。同社では、血圧コントロール不良の患者を中心にアジルバの降圧のキレの良さを訴求しており、これまでの営業活動の手ごたえから、5月の長期処方解禁を機にアジルバの処方が大幅に伸びるとみている。
なお、ブロプレスの12年度売上は配合剤を含めて1340億円で、前期比87億円の減収だった。13年度売上計画は1210億円と、さらに100億円以上の減収を見込むが、減収分はアジルバへのシフト分ともいえそうだ。
ネシーナの12年度売上は378億円で、前期比222億円の増収となったが、期初計画の480億円は大きく下回った。13年度は485億円を計画する。
◎糖尿病の2新薬 15年度までの承認取得目指す
そのほか、同社がこの日公表した承認取得計画によると、国内市場では、13年度に肥満症治療薬cetilistat、14年度に週1回投与タイプのDPP-4阻害薬trelagliptinや消化性潰瘍治療薬vonoprazan、15年度に糖尿病治療に用いるGRP40作動薬や前立腺がん治療薬orteronel――の承認取得を見込んでいることを明らかにした。
【12年度連結業績(前年同期比) 13年度通期予想】
売上高1兆5572億6700万円(3.2%増) 1兆5900億円(2.1%増)
営業利益1225億500万円(53.8%減) 1400億円(14.3%増)
経常利益1131億6800万円(58.1%減) 1250億円(10.5%増)
純利益1312億4400万円(5.7%増) 950億円(27.6%減)
【12年度国際戦略製品売上高(前年度実績)13年度予想、億円】
リュープロレリン1165(1207)1220
ランソプラゾール1102(1221)1020
カンデサルタン1696(2163)1480
ピオグリタゾン1229(2962)440
【12年度国内売上高(前年度実績)13年度予想、億円】
ブロプレス1340(1427)1210
うち、エカード124(130)140
うち、ユニシア223(177)240
タケプロン691(765)685
リュープリン660(678)665
エンブレル432(414)非開示
ネシーナ378(155)485
うち、リオベル54(10)65
ベイスン193(259)170
アクトス191(318)170
ベクティビックス188(172)205
ベネット133(165)140
レミニール84(27)非開示
ロゼレム45(25)75
アジルバ34(-)320
ロトリガ11(-)30
注)アライアンス先の開示方針により一部非開示としている。