第一三共 筋ジス治療薬開発へ 官民ファンド出資の新会社と共同で
公開日時 2013/02/15 04:02
第一三共は2月14日、官民ファンドの産業革新機構などの共同投資で新会社(Orphan Disease Treatment Institute)を設立し、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬の開発を共同で行うことを決めたと発表した。2017年ごろをめどに臨床で治療薬としての可能性を判断するPOCの獲得をし、2020年前後に日本で承認取得することを目指す。
DMDは、新生男児の約3500人に1人の割合で発症するとされ、筋萎縮が進行し、多くは20~30歳代で死に至るという難病で、根本的な治療薬がない。発症原因として、患者の筋細胞でジストロフィンタンパク質が産生されないことであることが分かっており、有効成分に用いるENAオリゴヌクレオチドを投与することで同タンパク質を発現させ、治療することを想定している。
第一三共と新会社は、治療に向けた研究をしてきた松尾雅文教授(神戸学院大学総合リハビリテーション学部)、竹島泰弘特命教授(神戸大学大学院医学研究科)の協力を得て、日本国内で非臨床・臨床試験を共同で実施する。
新会社は3月にも設立し、代表取締役は第一三共から出す予定。患者数が極めて少なく、事業が成り立ちにくい希少難病治療薬の開発は、製薬会社単独では難しい面があるが、ファンドの支援を受けた取り組みは新しいモデルとして注目されるところ。第一三共は、希少難病治療薬の開発を同社に委ねていく方針であることを明言していないが、「他にシーズが見つかれば、新会社で開発する可能性を否定するものではない」としている。
新会社に対しては産業革新機構が、新会社の第三者割当を引受け、総額16.5億円を上限とする投資を行う。また、新会社は、三菱UFJキャピタルの運用するファンドに対しても第三者割当増資を行う予定。