FDA 新規インフルエンザワクチンFlublokを承認
公開日時 2013/01/22 04:00
米食品医薬品局(FDA)は1月16日、米Protein Sciences Corporation社(本社・コネチカット州メリデン)の、既存ワクチンのように鶏卵を使用するのではなく、昆虫細胞を使用して製造する季節性インフルエンザワクチンFlublokを承認した。Flublokの対象は、18歳から49歳の成人。
Flublokは、PSC社独自のBaculovirus Expression Vector Systemという新規技術を使い、従来のワクチンにようにインフルエンザウイルスや鶏卵は使用しない。同新規技術は、全ての不活化インフルエンザワクチンにいてウイルスが体内の細胞に侵入するために不可欠な活性成分である、インフルエンザウイルスタンパクの赤血球凝集素(HA)の大量の製造を可能にする。インフルエンザ感染を防御する抗体の大多数はHAに対して攻撃が向けられる。同技術はインフルエンザワクチンにとっては新規だが、他の感染症予防ワクチンではすでに既承認のワクチンに使用されている。
同ワクチンは、2種のA型インフルエンザウイルス(H1N1株およびH3N2株)および1種のB型インフルエンザウイルスの防御に役立つ3種の完全長、遺伝子組み換えHAを含有している。Flublokの有効性は、約2300例の同ワクチン接種群と同規模のプラセボ投与群について比較対照試験を実施した結果、同ワクチンは全ての流行インフルエンザ株に44.6%の効果を示した。
また、安全性については、同ワクチンを接種された2500例で検証された。主な副作用は、注射部位の痛み、頭痛、疲労感、筋肉痛など既存の鶏卵で製造する不活化ワクチンで発現する副作用と同様だった。
FDA生物製剤評価研究センター(CBER)のKaren Midthunセンター長は、「今回の承認は、インフルエンザワクチン製造における技術的進歩を示すもの」と評価したうえで、「この新規技術は、鶏卵の供給やインフルエンザウイルスの入手に依存しないため、パンデミック発生時にワクチン製造プロセスの立ち上げを迅速にさせる可能性がある」と指摘した。
一方、PSC社のManon Cox CEOは、「Flublokは本当に近代的なワクチンだ」と述べたうえで、「我々はいかなるウイルス成分をも使用せずにワクチンの有効成分を作る進歩した科学技術を使用している」と同社の新技術に自信を示した。
国内では、同ワクチンは、UMNファーマ社がPSC社から導入、日本ばかりでなく、中国、韓国、台湾、香港、シンガポールにおける独占的開発、製造、販売権を獲得している。また、国内では、2010年9月にアステラス製薬と共同開発、独占販売契約を結んでいる。現在、フェーズIII試験実施中。