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米国医療保険エクスチェンジ

公開日時 2012/11/13 04:00

オバマ大統領の再選で米国医療改革法(The Patient Protection and Affordable Care Act: ACA)は2014年までに完全実施される見通しとなった。もっとも困難が予測され、それ故にそいで着手される必要があるのが、州ごとに設置され医療保険売買のプラットフォームとなる Health Insurance Exchange ( HIXと略されることもある: 医療保険エクスチェンジ )である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


HIXは 州が選定した医療保険会社が、州の基準・規定を満たす内容の医療保険を 州民に販売するための組織・機構である。州民は誰でも、既往症の有無等にかかわらず、このHIXから医療保険を購入することができ、必要に応じて連邦や州から補助を受けることもできる。オバマ大統領は2009年6月の演説の中で「(HIXは) 国会議員とその家族が医療保険を購入しているようなしくみ」と語っており、共済組合がイメージされている。


だが、HISで医療保険を販売するのは州政府が認めた民間の保険会社であって、改革法案の当初の議論にあった日本の国保のような公的医療保険は設置されないことがきまっている。つまり、ごく簡単に要約すれば、HIXは医療保険会社と州民の間に置かれて、州による規制を受けながら医療保険会社と州民双方に対して、ブローカー/共同購入団体のような役割を果たす機構となる。


HIXは2014年1月1日に全米各州でもれなく完全施行されるべきことがACAによって決まっている。だが、2014年1月に完全実施するには、すなわち2014年1月1日からHIXで購入された医療保険が有効であるようにするには、2013年10月にはHIXの組織/機構の立ち上げはもとより、ここで販売される医療保険の商品内容も固まっていなければならない。米国の医療保険の更新・買い替え手続きは毎年11月の1ヶ月間で行われるのが全国的な通例で、1月に発効する医療保険の申し込み締め切りは全米どこでも11月末日だからである。


しかし、HIXの導入には今日でも少なからぬ数の州知事が反対している。ミズーリ州では今回の選挙に置ける州民投票で州がHIXを導入しないとする法案が可決された。オバマ大統領再選後には、早々にテキサス州知事とフロリダ州知事がHIXに反対し、導入に協力しないとの意思表明を行っている。


AP通信の報じるところによれば、テキサス、フロリダ両州を含む10州がHIXを実施しないと意思表明している。だが、一方、カリフォルニア、ワシントンDC始め17の州では、すでにHIX設置の準備が始まっていると報じられている。


大統領府は着々と改革を進める構えである。医療改革法の継続をかけて闘われた選挙戦に勝利し、またフロリダ州知事を筆頭に「改革法がExchangeを州に強いる」点を最大の争点のひとつとして連邦最高裁判所に提訴されたACAの違憲審査請求にも勝利したオバマ大統領には改革法の実施をためらう理由はないからだ。知事の協力が得られない州では、HIXは連邦政府の直轄事業として実施される予定だ。そのため、各州は、自ら州内にHIXを設置するかどうか/できるかどうかを、 今週末までに大統領府に届け出ることになっている。施策推進の最高責任者である米国厚労大臣(Health and Human Service Secretary)キャサリン・シベリウス女史は「法案がきちんと実施され、改革が終わるまではしっかりと見届ける」と語っている。
 

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